警報音 ページ10
「これはウチの勝手な推測なんやけど、
康二とぶつかったあの怪しい人は、ウチらと会った時にはもう人を殺して逃げる途中だったんとちゃう？
だけど、康二にぶつかってしもうたから、ウチらに顔を見られたかもって不安になってそのことを確認に来た。
制服と警棒を何らかの方法で手に入れて、おまわりさんになりすましてな。見た目は本物っぽかったけど、あの人、警察手帳見せへんかったから本物のおまわりさんである確率は低いと思うねん」
ラ「え、じゃあ、もしも警察官の人が怪しい人と似てるって言ってたら……」
「最悪の場合、殺されてたかもしれへんな」
誰かがヒュッ、と息を呑む音が聞こえた。
渡「マジムリ！マジムリ！パニックなんだけど！」
ほぼ半ギレ状態で翔太くんは握っていたウチの手に更に力を入れてくる。
「痛い、痛いって翔太くん！これはウチの推測にすぎんから。…でも、ごめん。無神経やった。こんな状況で不安を煽るようなこと言ってしもうて」
舘「いや、Aは悪いこと何も言ってないよ。あくまで可能性の話でしょ？」
「お、おん…」
舘さんがフォローを出してくれたけど、舘さんとウチ以外は完全にお葬式みたいな雰囲気や。
あー…何でこんなこと言ってしまったんや、ウチは。
ちょっと考えれば分かるやろ、皆が不安になることくらい。
渡「もうVS嵐が全然頭に入ってこない…」
「だ、舘さんも言ってたけど、あくまで可能性の話やから、《ここでニュース速報です。
今日午後4時頃、五反田・目黒川沿いのマンションで30歳くらいの男性が刺され、死亡しているのが見つかりました。
犯人は職務質問した警察に暴行を加え、
警棒や制服を持って逃走中です》………え？」
テレビから流れてきたニュースにウチは思わず耳を疑った。
渡「待って、何歳？」
佐「制服と警棒を持って逃走だって」
向「Aの言った通りやない？」
「いや、まだ分からへんよ」
ラ「こわっ」
康二の携帯にマネージャーさんから着信が来た。報道部から特別に犯人の写真を入手したので、写真を送ってくれたらしい。
深「来た？」
ラ「うわ、それアウトでしょ。完全にもう、だって…」
ラウールがウチに抱きついてきたので、とりあえず背中を優しく叩く。
「大丈夫。大丈夫やから…」
佐「さっきの人だよ。あ、もう確定だ」
舘「一回その人を家に入れてしまった…」
ピンポーン！
一同「うわああっ！？」
二回目のチャイムが、ウチには警報音のように聞こえた。
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作者名：ゆる子 | 作成日時：2020年6月14日 20時
