もう1人の最強2

58日目 ページ19

仲良さげに会話に花を咲かせている3人を見ていたら、いつの間にか警戒心なんてものは解けてしまった。

呪術師としてどうなんだって話だけど…。

俺が普通の家に産まれてたら、俺もあんな風に無邪気に笑えたのかな。

ちょっと、羨ましいかも…。

そう思いながら3人の会話に耳を傾ける。

なんだか、俺が彼処に混ざるのはいけない気がして、口を開けずにいた。

「ね、お兄ちゃん。これからはお兄ちゃんも一緒に暮らしてくれるって本当？」

『寮暮らしだから一緒に暮らすのは難しいかも…って俺が兄になること確定なの…？』

「なってくれないの…？」

「なるだろ？お前も俺らとバカしようぜ。」

『でも…』

なれるものならなってしまいたい。
でも、俺は呪術師でこの人は呪詛師。

それは変えられない事実なのだ。
もし、この人と敵対する時が来たら…俺はどちらの味方になるべきなのか分からなくなってしまう。

そんな風に思っている時点で絆されていたのだろう…でも、この時の俺はまだ気がついていなかった。

「自分の立場とか家の関係とか1回全部忘れろ。」
「んで、お前自身の言葉で伝えろ。ここにはお前を責めるやつなんて誰一人としていねぇよ。」

実の家族にすらかけられたことの無い優しさを感じる言葉に思わず涙が溢れそうになる。

なんで…

『なんでそんなに優しくしてくれるんですか…？油断させて殺る(ヤ)つもりなら早いとこ済ませてくれればいいじゃないですか…』

「俺にはガキを殺る(ヤ)趣味はねぇって言ったろ…それに、お前はなんかほっとけねぇんだわ。」

「弱っちくて何処かで殺られてそう(ヤ)でな」なんて憎まれ口を叩いているけどこれはこの人なりの気の使い方なのだろう。

甘えても、いいのだろうか…。

いろんな最悪な事態が頭を過ぎるが、なぜだかこの人なら大丈夫そうな気がした。

たまには、いいよね。

『…よろしく、お願いします。』

俺がそう言うと男性は嬉しそうに笑って「任せろ」と言ってくれた。

ーーーーー

この作品では甚爾さんはギャンブル等一切やってない家族思いの少し面倒くさがりやなお父さんってことにしてます。

憎まれ口は叩くけど、なんだかんだ優しい(当社比)甚爾さんなのでAくんをほっとくことが出来なかったみたいです。

そんな家族思いで優しい(当社比)お父さんがやられるわけないよね？？？ってことで、今作での甚爾さんは生存ifにさせてもらおうと考えています。

解釈不一致があったら御手数ですが自衛をお願いします。

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