38日目 ページ38
【春は出会いの季節であり、別れの季節でもある。】これは誰が言った言葉だっただろうか。
新たな出会いを喜び、一緒の時を過ごしてきた仲間に別れを告げる。
”春は自分から大切な人を奪って行く…”そう言ったら大袈裟だが、春という季節を俺はそう思っていた。
それ故に、春が嫌いだった。
出会うことは良くとも、別れがどうにも慣れないのだ。
まぁ、別れに慣れてる人間なんて居ないだろうけど…。
なんて、手を太陽に翳し(かざし)考える。
今日は春らしく、とても穏やかな気温で過ごしやすい日だ。
屋敷に植えられている桜も咲き誇り、まるで俺らの門出を祝っているようだった。
「別れる前に最後に3人で写真を撮ろう。」という楓の提案で、写真を撮ることになった。
今はその準備中だ。
数分すると準備が整ったのか、使用人が呼びかけてくる。
「坊っちゃま、準備が整いました。」
「楓お嬢様と五条様もどうぞこちらへ。」
『うん、ありがとう』
「へいへい」
「はーい。」
上から、俺 悟 楓 の順で返事をする。
この写真を撮ったら各々学生寮に向かうことになっているため、3人がこうして会えるのは今日が本当に最後だった。
これから先、会えないこともないが、今までみたく気軽に集まることは不可能だろう。
そう思ったら、笑顔なんて作れなくなってしまった。
隣にいた悟も同じ気持ちなのか、どこか暗い顔をしていた。
会えなくなるのは、いやだなぁ…。
「ちょっと、なによこの重たい空気…最後くらい笑顔でいなきゃでしょ?」
「ほら、笑って笑って!!」
そう言いながら楓は俺と悟の肩を掴み引き寄せる。
あまりに突然の出来事で、俺も悟も思わずバランスを崩す。
『ちょ…!』
「うお…」
それと同時にシャッターの音が響いた。
現像した写真には、少し焦った顔をしている俺と、驚いたような顔をした悟。
そして満面の笑みで俺たちを抱き寄せながらもピースをしている楓が写っていた。
何とも俺たちらしい写真に思わず笑みがこぼれる。
これが最後じゃない。
生きてる限り、俺たちはまた3人で集まれるんだ。
だから今は進もう。
互いの目指す、幸せな未来のために…。
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この漢字の読み方が分からない!とかあったらコメント欄にて教えていただけたらフリガナを振らせていただきます。
他にも、Aの好きなものが知りたい、作者はどういうものが好きな変態なのかなど、質問があれば受け付けたいと思っておりますので、お気軽にコメントありがとうお願い致します。(コメント欲しいだけ)
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作者名:楓さん x他1人 | 作成日時:2021年3月2日 16時