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33日目 ページ33

楓side

少し離れた所から月明かりに照らされる2人の重なり合う影を見つめる。

「男の子の友情っていいなぁ…」

なんて、誰にも拾われることのない言葉を呟く。

Aには優しくされているのも分かっているし、かなり好かれている自覚もある。

でも、私は五条悟には勝てないのだ。

ただの許嫁…所詮利害の一致だけで行動しているだけにすぎないのだから。

少しは意識してくれてもいいのに、私じゃ五条悟には勝てないの?なんて、どろりとした良くない物が私の心を支配する。

最初はこんなこと思わなかったのに。

間違ってもAに恋をしてはいけない。
そう、思っていた。思っていたのに…どこで間違えたのか、どうやら私はAに恋心を抱いてしまったらしい。

だからこそ、五条悟と会えなくなったと聞いた時、少し喜んでしまった醜い自分がいた。

”もしかしたらAの1番になれるかもしれない”

そう、思っていたのに…。

現実はそう甘いはずもなく、更に心の距離が近くなったであろう2人を1人静かに眺める。

「本当、最悪…」

そんな言葉が思わず漏れる。

【私が1番になれたら】なんて…。

そんな私の気持ちを知ってか知らずかAが声をかけてくる。

『楓〜。今から悟と遊ぼうと思ってるんだけど、楓も来ない?』

「…ゲームなら負けないわよ?」

この気持ちを伝えて離れることになるくらいなら、このまま都合のいい関係を続けよう。

私が、傷つかないために…。

この醜い気持ちに蓋をした。

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作者名:楓さん x他1人 | 作成日時:2021年3月2日 16時

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