27日目 ページ27
未だに泣き続ける悟の背中をぽんぽん叩く。
しばらくそうしていると落ち着いてきたのか、悟は小さな声で「ありがとう…」とつぶやいた。
『いいえ〜。落ち着いた?』
「うん…」
落ち着いたとは言いつつも、俺の腕の中から離れようとはしない。
そんな所も可愛いなぁ…。なんて思いつつ、ぎゅっと抱きしめる。
『そろそろ寒くなってきたし、中に戻ろうか』
「まだ、話してたい…」
今日は素直な悟に驚きつつも、まだ話したい、そう思ってくれたことに嬉しくなった。
『うん、でもここじゃ風邪ひいちゃうから中で話そう?』
『風邪ひいたら辛いのは悟だよ〜?』
「別にいいよ…俺、最強だから風邪なんてひかないし」
”最強”それは幼い頃から悟に貼られていたレッテルだった。
最強だからこの程度では負けないだとか、最強なら全て一人でやってのけるとか…そういう、最悪のレッテル。
俺の仕事は悟のそばに居て、そんな最悪のレッテルを剥がすこと…だと、勝手に思ってる。
じゃないと、悟が壊れちゃうから…。
『最強だって風邪はひきます〜。』
『それに、俺の前では悟最強じゃないからね。』
「はぁ?」
『すぐ泣くし俺にひっついて来るし…あっ別にそこを直せとか、そこが悪い言って言ってるんじゃないよ?』
『悟は悟のままでいいんだから、俺の前では最強じゃなくていいんだよ。』
俺の前でくらい素の悟でいてほしい。
ずっと、そう思ってた。
普段は絶対に人前で泣かないのに、俺の前でのみ泣くあたり、素を見てくれてるのかな…?とか勝手に思ってる。
『…中に入ろうか、本当に風邪ひいちゃう。』
手を伸ばして触れた悟の頬は寒さからとても冷たくなっていた。
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作者名:楓さん x他1人 | 作成日時:2021年3月2日 16時