もう1人の最強 (ページ11)

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11日目ページ11

どうやら話し合いとやらが終わったようで、ゴジョウ家のご当主が悟を迎えに来たのだ。

「悟、帰るぞ」

「…もう、話し合いは終わったんですか？」

「あぁ」

「そう、ですか…」

どこか、悲しそうな表情をうかべる。
俺には悟の綺麗な顔が、とても歪んで見えた。

『…悟、またおいでよ。』
『その時また話そう？ね？』

「っいや、だ…帰りたくない…」
「俺は、まだAと…」

初めて聞いた、悟の縋るような声。
その声を聞いた時、何故だか胸が締め付けられるような感覚がした。

『悟…』

でも、そんな意見をご当主様が認める訳もなく、どこかイラついたような声で悟に声をかける。

「悟、わがままを言うんじゃない。」

そんなご当主様の声を聞き、まだ小さい身体をビクつかせた悟をみて、初めて人に殺意を抱いたのを覚えている。

「っごめん、なさい」

よく見てみると悟の目には薄らと涙が浮かんでいた。

そんな状況を見兼ねたのか、今まで黙って見ていただけの父様が声を上げた。

「まぁまぁ、たまにはいいじゃないか」

「しかし…」

「悟様もこう言っている事だし、お前も少しは休んだ方がいい。」
「今日は泊まっていけ」

父様がそう言ってもなお、渋るご当主様。

「だが…」

「いいから行くぞ、話し足りないくらいだ」

「おい！」

未だに声を上げるご当主様を引き摺って行く父様…。

初めて父様を尊敬した瞬間だった。