Follow Your Heart【東京喰種】【短編集】

時分時 / 鈴屋 什造（月世様リクエスト） ページ10

:reです。(全然出てこないですが)
什造の後輩という設定です。

――――――――


仕事の帰り道。
とっくの前に日も沈んでいた。


家の方向が同じなので、什造くんと一緒に帰る。

「Aの家でご飯食べたいです」

『作らせる気だねぇ。……いーけど』





私が一人暮らしのアパートに着く。


『どうぞー』

適当に作った料理を並べる。
座卓にテレビを見れるよう、2人並んで座った。




「あれは？」


什造くんが指差したのは、家族と写っている写真。


『家族だよ。……もう死んじゃったから、あんまり覚えてないんだけどね』

「そーですか」

それ以上は聞いてこなかった。


しん、と沈黙が訪れる。
暗いムードになるなら、写真しまっておけばよかったな







「……Aに、」


「Aにまでいなくなられるのは、困ります」



儚げな声で彼はそう言った。









何となくそういう雰囲気だったんだと思う。


静かで優しくて、とろけそうに甘い雰囲気。



視線がぶつかる。

すぐ目の前に、什造くんの顔が見えた。









『ん………ぅ…』


目を閉じたまま、何度も角度を変えてキスをする。
いつの間にか彼の手は私の後頭部に。


徐々に長く深くなっていく口付けに、心拍数はどんどん上がる。


この男、キスが上手い。なんて思った。



先輩相手のキスに
羞恥心にかられるリップ音

しつこいくらいに絡ませてくる舌



夢中で彼の唇を求めるうちに、恥ずかしさはいつの間にか忘れていた。


頭はもうろうとしてきて、気持ちいいことだけが分かる。




『な………が、いッ』

肩を押せば、やっと唇を離してくれた。


銀色の糸がぷつんと切れる。
数センチ前に、悪戯っぽく笑った什造くん。



「真っ赤」

『………え？』




「顔、真っ赤です」




『………うるさ……』


反論も、熱をもった顔じゃ意味をもたなかった。

笑った彼の妖艶さにどきりとする。



ちらり、と什造くんが視線を動かした。



「作ってもらっといて悪いですけど、」







「今、夜ご飯とかどうでもいいです」






細い腕で、優しく、けれど強引に押された。

反転した視界
頬に手を添えられる。

見えるのは天井



そして、綺麗に笑った彼の顔







ねぇ



まさか








最初から狙ってた？



―――――――

いやぁ難しかったです。下手すぎて自分で笑った。
『時分時』はちょうどいい時とかそういう意味です。


月世様、リクエストありがとうございました！

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