リリィの呪い / 旧多ニ福 ページ35
長く熱く重なっていた唇が離れる。
粘着質なリップ音がした。
鼻先がくっ付きそうなところで旧多さんと目が合う。
(!)
瞬間、我に返った。
『……は、離れて……ッ』
至近距離に焦る。
しかし精一杯押しても、腰に手を回されていて依然離れられない。
そんな抵抗する私を見て、旧多さんは鼻で笑った。
「抵抗すんの、おっそ」
『……ッ! あ、なたが……』
「何をそんなに躊躇っているんですか?」
一言。
私の肩が揺れた。
たった一言だけで、私の心には動揺が広がっていく。
「彼氏?」
「もういないんですよね」
「なのにさぁ」
「……いつまで引きずってンの?」
嘲笑の声。
明らかに私を馬鹿にしていて、先程までとは大違いだった。
旧多さんの言う通りだ。
私は彼のことを忘れられない。
忘れたくても忘れられない。
そう。
それはまるで
〈呪い〉
のように。
「そーんなお優しい彼氏サンだった?」
ピクリと、反応してしまう。
彼には見透かされているようだった。
思い出す。
束縛の激しかった彼
気に食わなければ
―――私に手を上げた、彼
彼のことがまだ好きで、忘れたくないから次の恋に進めない
わけではない。
むしろ
「貴方がとんだDV男と付き合ってるって」
「そんな噂を聞いたことがあるんですけどー」
「……あらら、本当だったみたいですねぇ」
旧多さんはなにが嬉しいのか、いかれたように楽しげに笑った。
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風冬(プロフ) - しんかいのくらげさん» リクエストの方書かせていただきました、こんなに遅くなって申し訳ありません。ありがとうございました!^ ^ (2018年8月10日 12時) (レス) id: a233740d3b (このIDを非表示/違反報告)
藍 - 書けたらで、いいのでお願いします。 (2017年3月22日 4時) (レス) id: eebb3790b5 (このIDを非表示/違反報告)
藍 - リクエストよろしいでしょうか?ホオグロで、pink お願いします。 (2017年3月22日 4時) (レス) id: eebb3790b5 (このIDを非表示/違反報告)
蘭世(プロフ) - 宇井さんお願いします!突然リクエストすいません... (2017年2月12日 11時) (レス) id: a6afbd1290 (このIDを非表示/違反報告)
鈴羽 葉月@低浮上(プロフ) - 風冬さん» 書いて頂きありがとうございます!!! これからも応援させて頂きます!! ありがとうございました!! (2017年2月5日 22時) (レス) id: cb82f46597 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風冬 | 作成日時:2016年1月14日 22時