Follow Your Heart【東京喰種】【短編集】

座右の銘である / 平子 丈（リリアンヌ様リクエスト） ページ32

平子さんの妹設定です。


――――


無口
無表情
そんな兄がどんなことを考えているのか、全然分かんない

喋ることが少ないから嫌われているんじゃ、とか。
思っていても口にできなくて

私は何もできない。


(いつ死ぬかも分からない仕事をしている兄さんだから)



私は兄に、何をしてあげられるだろう。

いつまでも役立たずでいたくない。





＊＊＊





『CCG……局員、の人？』

「あぁ。……お世話になった人だから」


久しぶりの休日であるはずなのに、兄は出かけるようだった。



理由を訊けば亡くなった元同僚？のお墓参りに行くのだという。
命日だから、と。
局員の人だけどお世話になったから、と。



しかしひとつの言葉に引っかかった。


『ちょ、ちょっと待って。CCG局員って？ なにそれ』


聞き慣れない単語に気が逸る。

失礼だけどお墓参りとかはそっちのけで、
”CCG”とつくのに初耳の単語にどきりしてしまう。




「捜査官の補佐とか事務をする、非戦闘員、………知らなかったのか？」

『し、知らない、


　………初耳!!』



珍しく意外そうな顔の兄に、私は勢いよく答える。



知らない、知らなかったよ


CCG局員、だって
”非”戦闘員、だって



運動神経悪いし、臆病者だから。
捜査官にはなれっこないと分かっていた。

諦める以前に考えたことすらない。


CCGは喰種を倒す捜査官がいるだけだと思ってた

けど

(捜査官の、補佐……!?)


教えてくれれば良かったのにと、
戦わなくてもできることがあるんだと、

考え出したらわくわくしてきて思わず笑ってしまう。





(だけどよく考えたら、事務担当とかも必要に決まってるじゃん！)






『………なる!!』




”思い立ったが吉日”
”旨い物は宵に食え”

私の座右の銘である。





「……は？」


『CCG局員！ 私局員になる！』



戦えないのなら戦わなければいい。
弱い私にできることがあるなら喜んでする。


もう決めた。


役に立ちたい
その一心で。







「…………。そうか、まぁ……。行ってくる」

『いってらっしゃい！』


相変わらずの無口さにちょっと笑う。

あまり喋らない兄が、今日は心地よかった。





―――――

何も言わずに応援してくれると思うんですよ、平子さんは！(どうでもいいけど)
リクエストありがとうございました。

淡紅 / 鈴屋什造→←Love ya！　/ ナキ（池田様リクエスト）

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