温もりはそのままに / 瓶兄弟 ページ22
似たような顔の二人に詰め寄られるのは、少し疲れる。
「どっちが好きか聞いてるんだよ」
「俺か、兄貴か」
『いや、別にどっちも好きじゃない』
本当ですって、答えてんじゃん。
最初の頃こそ立場が下だったから、オブラートに包んで断っていた。
でも最近、私もアオギリの幹部になった。
気を遣う必要も消えたというわけ。
『お2人さんもう帰れ。私出掛ける』
「……デートか?」
間の長さまでぴったり重なった2人の声。
驚くほどの仲の良さに、つい笑ってしまう。
『任務だよ。大丈夫、すぐ帰ってくるから』
▽
『(……油断大敵というやつ、だね)』
しくった。
結構しくった。
楽な任務のはずだったのに。
というか、死神相手に私が敵うはずがない。
『(タタラさんに怒られるー)』
………殺される?やだな。
大体部下達が弱すぎるんだよ、と心の中で愚痴を漏らす。
そんな部下達が無残に駆逐されていった姿は、今もこの目に焼き付いている。
私は一人、アオギリのアジトへゆっくり歩くことにした。
「A!」
聞き慣れた声が耳に飛び込んできた。
一人のじゃない。
よく聞く2人の声。
あの兄弟の重なった声は何故か、とても、安心してしまうのだ。
ふっと力が抜けて、私は膝から崩れ落ちた。
「お、おいっ!」
「怪我………!」
『だ、大じょぶ、だから、』
「大丈夫じゃないだろ!!」
突然の大声にビクッとなる。
2人は危機迫る顔で、今更ながら自分の体の状態を知る。
私の脇腹は見事に削れ、再生が追いついていなかった。
「お、お前に死なれたら困るんだって……俺も、兄貴も!」
「っおい、A!」
駆け寄ってきた2人。
私の体を抱くように起こし、傷を押さえてくれる。
右手は兄の方
左手は弟の方に
しっかり握られた両手が温かかった。
きっと血の流しすぎ。
眠気が私を襲った。
目を閉じる直前、もう一度、視界が二人の兄弟をとらえる。
『別に』
力が入らないなりに精一杯笑って
『どっちも嫌いじゃないからね』
両手の温かさを離さないまま、意識を手放していった。
――――――
夢主さんがどうなったかはご想像にお任せします。
リドルストーリー的な。(エセですが)
こちらは、やだもう恋愛って書くの難しいネ!と言いつつ書きました。
上手く書けるようにこれから頑張ります……。
月下香 / 旧多 二福(あ様リクエスト) →←change / 佐々木琲世※
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風冬(プロフ) - しんかいのくらげさん» リクエストの方書かせていただきました、こんなに遅くなって申し訳ありません。ありがとうございました!^ ^ (2018年8月10日 12時) (レス) id: a233740d3b (このIDを非表示/違反報告)
藍 - 書けたらで、いいのでお願いします。 (2017年3月22日 4時) (レス) id: eebb3790b5 (このIDを非表示/違反報告)
藍 - リクエストよろしいでしょうか?ホオグロで、pink お願いします。 (2017年3月22日 4時) (レス) id: eebb3790b5 (このIDを非表示/違反報告)
蘭世(プロフ) - 宇井さんお願いします!突然リクエストすいません... (2017年2月12日 11時) (レス) id: a6afbd1290 (このIDを非表示/違反報告)
鈴羽 葉月@低浮上(プロフ) - 風冬さん» 書いて頂きありがとうございます!!! これからも応援させて頂きます!! ありがとうございました!! (2017年2月5日 22時) (レス) id: cb82f46597 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風冬 | 作成日時:2016年1月14日 22時