太陽だけ見ていた / 鈴屋 什造 ページ1
戦場では
彼は二等捜査官
私はAレート喰種
相反する立場の私達二人。命がけの殺し合いは何度もした。
そんな彼もプライベートでは
「Aさーん！」
私の良き暇つぶし相手なのだ。
にこにこ。
彼の溢れそうなほどの大きな目が大好き。
「今日はぁ、ドーナツ5個買ってきたです」
『そんなに食べるんかーい』
「Aさんも食べるです？」
『ごめん吐く』
ぽかぽか照らす春の日差し
私達ら並んでベンチに腰掛けて、什造くんだけがドーナツを頬張る。
「あ、そういえばー、Aさんのレート上がってましたよ」
『マジか。私ってば、ついにSレートの仲間入りー』
Aレートだった私。まだSレートに上がることはないだろうと踏んでいたんだけど。
やばいな
ピリリと走る危機感
私という喰種に対する警戒が高まれば、この区を離れなければならないかもしれない。
勿論、私が駆逐される可能性も高まるわけである。
(それはちょっと、やだな)
ちらりと横を見る。
大きな口、何とも豪快な食べ方でドーナツを頬張る彼。
彼の食べ方を見ると、
ドーナツという食べ物でさえ、美味しいのではと思えてくるのだ。
「Aさん」
突然、私の化粧すらまともにしていない両頬を、冷えた手が包み込む。
什造くんの、
赤いボディステッチまみれの白い手。
彼の方を向かされる。
顔がだんだん近づいてきて、
おでこ同士がこつん、とぶつかった。
「Aさんを殺すのは、この僕です。
他の誰かに勝手にくちくされたら怒りますよー」
大きな目
白い肌
ところどころの赤い糸
至近距離で見る彼は、普段より少しだけ真剣味をおびていて
『什造くんを食べるのは私だからね。
他の喰種に勝手に食べられたら、許さない』
私も迷うことなく言い返した。
子供のように笑う彼。
一度だけ2人の距離がゼロになる。
それは、二人で笑い合う、大切な大切なプライベートの時間だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 232人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
風冬(プロフ) - しんかいのくらげさん» リクエストの方書かせていただきました、こんなに遅くなって申し訳ありません。ありがとうございました！^ ^ (2018年8月10日 12時) (
レス) id: a233740d3b (このIDを非表示/違反報告)
藍 - 書けたらで、いいのでお願いします。 (2017年3月22日 4時) (レス) id: eebb3790b5 (このIDを非表示/違反報告)
藍 - リクエストよろしいでしょうか？ホオグロで、pink お願いします。 (2017年3月22日 4時) (レス) id: eebb3790b5 (このIDを非表示/違反報告)
蘭世(プロフ) - 宇井さんお願いします！突然リクエストすいません... (2017年2月12日 11時) (レス) id: a6afbd1290 (このIDを非表示/違反報告)
鈴羽 葉月＠低浮上(プロフ) - 風冬さん» 書いて頂きありがとうございます!!! これからも応援させて頂きます!! ありがとうございました!! (2017年2月5日 22時) (レス) id: cb82f46597 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：風冬 | 作成日時：2016年1月14日 22時
