もしもの話。【僕のヒーローアカデミア】 (ページ10)

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８. ページ10

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「大丈夫？動ける？」
瓦礫をどかしながら手を差し伸べると、彼女は満開のひまわりの様に笑った。

「ねぇねぇ、今のなに！すっごい個性だね！ありがとう！」

屈託のない彼女の笑顔は、乾き切った私の心にグサグサと刺さった。変な気をかけないようにっこりと笑みを浮かべる。

「本当にありがとう！同じクラスだといいねっ」

念のため回ってきた治癒教諭のリカバリーガールに状況を伝え、手を引かれて去っていく彼女は、いかにも私が合格したかのような台詞を述べた。
受かるわけ、ないのにな…。

その日、次に気がついたのは、最寄駅だった。

どうやって帰ってきたのか覚えていないけど、中学の制服を身に纏って改札を出たということは、受験後しっかりと電車に乗って帰ってきたのだと思う。

「…しょうと。」

改札の前に、見覚えのある紅白頭。私の幼馴染だ。こんなところまでお迎えに来るなんて過保護かよ、なんて悪態をつく余裕が私にはあった、はず。

私の顔を見た幼馴染は、私の手をいつもより優しくとって「寄り道すんぞ。」と歩き出した。

そのあと、近所の公園に私を連れて行った焦凍は、私の好きなカフェオレを自販機で買って与え、何も言わず私を抱き締めてくれた。

その暖かさが、優しさが、余計に私の胸を締め付けた。苦しくて、どうしようもなくて、涙を止められない私に「Aは、ヒーローになれるぞ。」と頭を撫でてくれた。嘘だとわかっていても、与えられる優しさにまた涙が止まらなくなった。

また彼に、助けられてしまった。

泣き尽くした私はそのまま焦凍の手により家まで送り届けられた。そんな私を見て父と母はギョッとしていたけど、何も聞いてこなかった。

それが優しさだったのか、ただ興味を持っていないだけなのかは、知りたくなかった。

結果、私は雄英高校ヒーロー科は不合格。
不合格通知には無機質な”不合格”という文字と、

”ヴィランポイント：１P
レスキューポイント：０P”

という結果だけが書かれていた。

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「言実さん…？」

そうだった、今は心操くんに答えづらい問いかけをされている最中だった。
空想から返ってきた私は、また笑顔を貼り付ける。

「考えておくね。」

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