もしもの話。【僕のヒーローアカデミア】 (ページ9)

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７. ページ9

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目の前に現れたのは、多分２P。

だけどそれにすら、私の足は竦んだ。動け、動け、動け…！
立ちすくむ私を他所に、受験生はどんどん先へ進んでいく。

「っしゃ！10P！」

目の前にいた2Pヴィランは、金髪の男の子が放った放電によって砕け散っていた。

…もう10Pってこと？

なんとかできないかと走り回るも、直前で足が止まってなにもできなかった。
そんな私を立派な雄英生の卵たちはちらりと見て、「ラッキー！」とばかりにかっさらっていく。

惨めだな、なんてどこか冷静に考える他なかった。

「ねぇ君、さっきからなにしてんの！ほら！」

受験生らしからぬ行動をしている私を見かねたのか、上から声が降ってきた。
この人は、さっきの金髪の…。

ほら、と指差されたのは1Pヴィラン。まだ残っていたのか。彼を見ると”早くやれ”とばかりに私に視線を向けたままだった。

譲ってくれるのか。さすがヒーロー志望、優しい人が多いんだなあ。と呑気に考えながらも、好意を無駄にすることはできないので一歩一歩立ち向かっていく。

意を決して１Pヴィランを鷲掴みにし引く様になぎ倒せば、そいつはいとも簡単に音を立てて崩れた。
なんだ…こんなに簡単に壊せるのか。

「…あのっ、ありが」

お礼を、と思って振り返るもそこに彼はもういなかった。
(また、会えるかな…。)そう思って、次へと駆け出そうとした時だった。

「「終了～！！！」」

…終わった。折角倒せると身体が理解したのに、タイムアップだ。

落ちたんだ、私なんかじゃヒーローになれないんだ。ぐるぐると視界が揺らいでいく。

込み上げる涙を堪えるように拳を握りながら出口へと向かうその途中。

恐らくこれが、0Pだったんだろうか。デカすぎる。どんだけお金あるんだろう、雄英。

その破片の下にピンクの…、女の子！？
「大丈夫！？」と、泣きそうなことも忘れてパタパタと近寄る。

「…動けなくて、」

避ける拍子に足を捻ったのか、瓦礫の下の足首は腫れていた。これじゃあ歩いて帰れないよね…。

うん、さっきまでネガティブ思考だったけど、このくらいの怪我なら治せるだろうか。

「待ってね、今助ける！

　…この子の足、治って！」

個性を受けた足首の腫れはみるみるうちに引き、元に戻っていった。

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