もしもの話。【僕のヒーローアカデミア】 (ページ8)

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突然感じた温もりに驚き反射的に身体を離せば、直ぐに解放された。…ごめん、心操くん。

「俺は、ここ(普通科)からヒーローを目指す。体育祭とか頑張ったら編入を考えてくれるらしいし。

…言実さんは、いいの？このままで。」

そういった心操くんの瞳に嘘はなくて、真っ直ぐ先を見ていた。
そしてその瞳は、私の心を見透かしているようで…。

「まだ、諦めてないんでしょ？ヒーロー科。」

うん。とすぐに頷きたくなるものの、私の頭の中はあの日の入試の出来事が頭を占めていた。

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2月21日(試験当日) 雄英高校

焦凍に扱かれまくった筆記試験は、我ながら上出来だった。きっと問題なく合格ラインだと思う。

「…問題は、実技試験だ。」

2度目の雄英高校の門を祈る様に潜りながら、初めの説明会場へと向かう。プロヒーローの”プレゼント・マイク”が実技試験の説明をするらしい。

声が煩いな、と思わず眉間にシワが寄ってしまった。いかんいかん。ネガティブ思考は個性に影響が出る。

「リスナーにはこの後！１０分間の「模擬市街地演習」を行ってもらうぜ！

市街地には3種類の架装ヴィラン(･･････)が用意されている！」

「なんだ、ロボットか」
「余裕そうだな」

…ロボット。

煩いと感じていたプレゼント・マイクの声も、周りの声も、なにも聞こえなくなった。

ロボットには生命が宿っていない。私の個性は使えない。

もう、試験は終わったも同然だった。

そこからはあまり記憶がないまま、気付いたら市街演習場に来ていた。大きすぎる規模にため息混じりの笑いを零すしかなかった。

「「スタートー！！」」

掛け声と同時に雪崩の様に受験者が駆け出していく。勝ち筋がない私は、泣きそうになりながらも周りに合わせる様に走った。

(個性が使えなくても、体術で行けるかも…！)

その少しの期待は、あっという間に崩れ去ることになる。

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