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「テメェ、半分野郎のなんだ？…モブのくせに、なんでこんなに体育祭に固執してやがる。」
モブ、は私のことだろう。はんぶんやろう。はんぶん……半分？
「あ、焦凍のこと？焦凍とは、幼馴染です。」
固執、か。確かに、ヒーロー科の人から見たら、どこから現れたかもわからないし、普通科のくせに体育祭で活躍しようと躍起になっている可笑しな奴だろう。
「…体育祭で、1位にならなきゃいけない理由があるから。…で、回答になってるかな？」
「そうやって空気ばっかり読んで、適当な回答してんじゃねェわ。
虫唾が走る。」
あぁ、それで空気女。
…納得している場合ではなくって。この人はなんなんだ。ズケズケと入り込んで来るわけではない。
一定の距離を保ちつつ、様子を見て探ってこようとする。…何が目的？
「私が体育祭を頑張る理由を知って、何になるの？知ったところでバクゴウくんが1位を目指すのは変わらない。私が1位を目指すのも変わらない。
…私たちは、
「………それがテメェの本心じゃねーかよ。」
「
俺はぜってぇ1位になる。完膚なきまでのな！それは半分野郎にも、デクにも、テメェにも勝ってこその1位だ！」
私の本心？本当になんなんだ、この人は。
「テメェは、本気で戦って欲しいんだろ。絶対に決勝まで来いや、俺が本気でお前を負かす。」
彼の言葉に、ハッとする。そうか、私は本気で戦って欲しかったのか。ヒーロー科の人に、……焦凍に。
その言葉を聞いて思い返せば、焦凍はいつも私に気を使っていた。鍛錬をしても私に対して本気を出すことはなかった。幼い頃ですら、炎司さんが少しでも炎をあげようとすると、それから私を守ってくれていた。
私は焦凍と、
「絶対手加減しないでね、バクゴウくん。」
「…するわけねぇだろ！てかその呼び方やめろ気色わりィ！！」
釣り上がりすぎて目が取れてしまうんじゃないか、って位怖い顔をした爆豪くんを見て、私は自然と笑っていた。
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作者名：浅葱。 | 作成日時：2021年5月25日 15時
