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やはり序盤の、私が違和感を感じた時、人使くんは尾白くんと庄田くんに個性を使っていたようだ。終わったあとの彼らは何が起きたのかわからない、とでも言いたげな表情をしていた。
「人使くん、なんで私に洗脳かけなかったの？」
「…馬鹿なの？Aは自分の意思じゃないと個性使えないでしょ。それに……
君とは"想い"が同じだから、洗脳する必要なんてないでしょ。別に連携にも無駄がないし。」
『そっか、確かにそうだね。』って冷静に見えるように返したけれど、その言葉が嬉しくて内心にやけてしまうのを隠すのに必死だった。
「早速上位4グループ見てみっか！！
1位、轟チーム！2位、爆豪チーム！
3位！……あれ？心操チーム！？いつの間に抜かしたんだ？」
…よし、3位！良かったあ。わああ！と言う感性に紛れて『誰だあれ？』と言う声がちらほら聞こえてくる。普通科ですよ、私たち！ってちょっとだけ自分を褒めてみてもいいよね。
「4位！緑谷チーム！！」
焦凍とバクゴウくんは想定内として、緑谷くんもか…。彼は私からみても驚異だ。個性の実態があまりわかっていないんだよね。…増強系の個性っぽいけど。
そのとき、遠くで大噴水が見えた。演出かな？
…噴水なんて設備、ここにあったっけ？
「やったね！人使くん！」
「…あぁ、ひとまずな。」
拳を合わせて微笑み合う。最終種目はきっと個人戦だろう。ここで人使くんと共闘できて本当によかった。この先、きっと糧になる。
「決勝で会おう、A。」
そう言った彼の瞳に、淀みなんてどこにもなかった。
お昼何食べようかな、屋台とかも出てるんだよなあ…。たこ焼きとかあるんだろうか。
そういえば焦凍に1位おめでとうって言いたいけど、どこに行ったんだろう？と思いながら歩いていると、誰かに腕を掴まれた。
「…っ！？ば、」
バランスを崩し受け止められ、その相手がバクゴウくんだと認識したところで口を塞がれる。何これ、どういう状況！？
彼の視線を辿っていくとそこには、深刻な顔で話す焦凍と…緑谷くん？2人の空気はお友達同士のお話タイム、という穏やかなものではなく、なんというか…今にも凍りつきそうだ。
耳を澄まして聞こえてきた言葉たちに、私の身体は固まってしまった。
「…個性婚、知ってるよな。」
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作者名：浅葱。 | 作成日時：2021年5月25日 15時
