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第二関門は"綱渡り"だった。私の足が遅いせいで、後続にどんどんと追いつかれてしまっている。ここで立ち止まっている場合では無いんだけど。さて、どうしようか。
綱自体に個性は使えないから、私自身に使うしかない。だけど、人間などの生命力が大きいものに個性を使うのは、キャパオーバーを早めるのだ。
正直、木の操作は大丈夫だったけど、焦凍の氷を攻略するために使ったヤツが結構響いている。ちょっと喉が痛くなってきた。
「うわっ…こわ…」
幼い頃から体幹を鍛えておいて良かったと思う。下を見れば足が竦むが、ゆっくりなら渡れそう。…特訓してくれてありがとう、炎司おじさん。
集中してゆっくり進んでいく私の頭上を、いろんな人が飛んでいく。焦る気持ちを抑えつつ、なんとか第二関門を突破した。
「ここが、最後かあ…」
今は何位だろうか。前方に、地雷を避けながら進む紅白頭がかろうじて見えている。飛べる人たちはまた私の上を飛んでいく。
…あ、飛べばいいのか。
「鳥さん〜！私のことゴールまで運んでくれるよね！」
天を仰いで両手を広げる。
その瞬間、ふわりと身体が浮いた感覚がして、自分が宙に浮いていることを理解した。
「ッゲホゲホ…」
やばい、これはこのまま行けば声枯れちゃうかもしれない。
前方に、競り合う焦凍とバクゴウくん(それが彼の名前らしい)の姿が見える。
「テメェ、宣戦布告する相手を間違えてんじゃねぇよ！」
「ここで先頭が変わったァ！」
鳥たちに運ばれながら順調に彼らに近づいていく。皆地雷を避けるのに必死で、頭上を飛んでいる私なんて気にとめていないみたいだ。
「…こんなとこで喧嘩なんて随分余裕そうだね？」
「「A…！/なんだテメェ」」
驚いた焦凍と、バクゴウくん。焦凍もまさか私がここまで来れるとは思っていなかったような反応だ。しめしめ。
「っとぉ！？普通科言実！飛んでるぞ！見た目も相まって天使かよ！「…セクハラになるからヤメろ、マイク。」
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作者名：浅葱。 | 作成日時：2021年5月25日 15時
