もしもの話。【僕のヒーローアカデミア】 (ページ4)

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「1-C」と掲げられた大きなドアを前に、深呼吸を１つ。人間関係構築は得意な方だが、私は如何せん人見知りだ。
仲良くなれればあっという間なものの、この新しい環境に飛び込むのはどうしても胃がキリキリと痛む。

「邪魔なんだけど。」

後ろから耳通りの良い低音が聞こえてはびくりと肩を揺らす。

「す、すみませんっ…」

そんな私を他所に紫頭の男の子は教室の中に入っていった。同じクラスかあ…。
第一印象はお世辞にも良いとは言えないだろうが、
仲良く、なれるだろうか。

教室に入り、指定されている席へ腰掛けると、
隣の席に座っていた女の子に声をかけられた。

「ウチ、振道由香。あなたは？」
「私は言実A。よろしくねっ」

ハキハキと話す由香ちゃんは、緊張で凝り固まっていた私の心をゆっくりと溶かしてくれた。
由香ちゃんのお陰で周りに女の子たちが集まり、出身校の話でわいのわいの盛り上がっていく。私も取り残されることなく会話に入り込むことができた。

…よかった、これでひとまず1年間ぼっち生活は防げたようだ。

「案外普通ね、雄英。」

朝のHRを終え、入学式のために体育館に移動する。
正直、なんだ普通だ。という感じだ。

普通科といえど雄英なんだから、何かしらあるのかと思っていた。今年からあのオールマイトも講師として就任したらしいし、期待してしまっていた私は由香ちゃんの発言にこくこくと肯く。

雄英を感じたのは校長先生が人間ではなかったことくらいだった。
ネズミ？ハムスター？のような小動物で、何より話がすっごーく長かった。校長先生の話が長いのは、どこもかしこも同じなんだろう。
それ以外は至って平凡な入学式を終え、教室へと戻る。

移動中ふと目に入ったグラウンドに、見慣れた紅白頭が見えた。
なにあれ、運動会…？

私なんて試着でしか袖を通していない真新しい体操服に身を包んだヒーロー科の彼らは、なにやら他と違う空気を放っていた。
ヒーロー科は初日からカリキュラムが違うんだ。
そうだよね、ヒーローにはこんな流暢に学生っぽいことをしている暇なんて…。

初日から現実を突きつけられ、どうしようもなく虚しくなった。

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振道由香(しんどうゆか)
雄英高等学校1年C組
溌剌とした性格ですぐに人と打ち解けられる
Aちゃんにできた雄英初の友達

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