２８. ページ30
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ピピピ、ピピピ… ＿＿＿＿。
5:30、けたたましい目覚ましの音で目を覚ます。あまり眠れなかったような気もするけど、案外頭はすっきりしていた。体育祭当日、朝からアドレナリンどばどばのようです。
いつもと同じようにランニングをして、シャワーを浴びて、朝ごはんを食べる。いつもと違うのは、お母さんが一緒に食卓を囲んでいることだ。
普通ならばこの時間は、お父さんはもう仕事に行っていて、家の中はお母さん・弟・私の3人だけになる。だけど、今日は違った。
「…頑張ってね、体育祭。テレビで見てるから。」
知っていたのか。もしかして、そのためにお休みにしてくれたの…？私にはもう興味なんてないものだと思っていた。
「うん、頑張るよ。」
「おねえちゃん、がんばるの？わかんないけど、頑張ってね！」
隣に座る
「…ありがとう、唄汰。」
こんな日に
「行ってきます！」
「行ってらっしゃい、Aちゃん。気をつけてね。」
「いってらっしゃい〜！」
履き慣れた靴を履いて外に出る。何年振りかに聞いた「行ってらっしゃい」に思わず涙腺が緩んだ。
いつものように壁に凭れかかる焦凍の顔が、嬉しそうに綻んでいた。「良かったな。」そう言って私の頭を数回撫でる。
「…へへ、ありがとう。」
そう言えば、焦凍に触れられても病気みたいにドキドキすることはなくなった。なんだ、気のせいだったのか。これが恋心ではないことに少し寂しくなった。
私は何を考えてるんだ？訳のわからない感情に眉を潜めた。
「行くぞ、A。」
ぼーっとする私を見かねた焦凍は、いつものように私の手を引いて歩き出す。今は、体育祭だ。この気持ちは、全部終わったらまた考えよう。そうして私は歩き出した。
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作者名：浅葱。 | 作成日時：2021年5月25日 15時
