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幸せは続かないと知ったのは、忘れもしない4歳の5月24日。
まだ5月だというのに夏のように暑い日のことだった。
今思えば、私の個性発現はこの日であった。
私はこの日、初めて琳寧くんの涙を見た。
原因はなんだっただろうか。今となっては思い出せないから、きっとちっぽけなことだったんだろう。
ゴールデンウィークというお休み中に、旅行に行ったという琳寧くんから貰ったお土産のキーホルダーを投げつけるほどの大喧嘩をしたのだ。
「琳寧くんなんてきらいっ」
「僕だって、そんなことするAちゃんなんてきらいだ！」
「もう知らない…っ、
どっか行っちゃえばいいんだ！」
捨て台詞の様に放ったその言葉に、琳寧くんはそのまあるい瞳を更に見開いて、ぽろぽろと涙を零した。
...今更謝ったって許してあげないもん。
ミンミンと鳴り響く蝉の声を背に、私は駆け出した。
琳寧くんに会ったのは、この日が最後だった。
その丁度3日後、琳寧くんはこの街を去っていった。
幼稚園の先生に聞くと、「琳寧くんは、遠くにお引越しっていうのをしたんだよ」と教えてくれた。
その時は訳がわからず涙が出なかった。私は大事な人に「ごめんね」も「ありがとう」も「またね」も言えなかったのだ。
あんなにたくさん助けてもらったのに。琳寧くんにはもう…
逢えない。
幼稚園の先生たちも、引越しの理由は知らないと言っていた。だけどその理由は、最悪の形で発覚することになる。
──────
Aちゃんにとってもう1人の幼馴染。
焦凍くんと並んで心の拠り所となっていたが、
4歳の頃に喧嘩別れをしてしまう。
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作者名：浅葱。 | 作成日時：2021年5月25日 15時
