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朝、5:30。
昨日はあれから、人使くんとヒーロー談義を繰り広げ、どんなヒーローになりたいのか。そのためにはどうしたらいいのか作戦会議をした。
今のままの私たちじゃ到底越せない壁がそこにはあるけど、きっと大丈夫だ。
そう笑い合って「やるぞ！おー！」なんて拳を突き上げてみたりして。
絶対乗ってくれないかと思っていた人使くんは、しっかりと天を仰いでいて、意外な一面を見ることが出来たりした。
これぞ、青春！万歳！なんて。
…ということで、雄英に入学してから完全に怠っていた体力作りのためのトレーニングを始めた。手始めに、
そうだ。また、エンデヴァーさんに体術の指導をお願いできないだろうか。
何を隠そう、あのNo.2ヒーローの息子：轟焦凍の幼馴染である私。小さい頃はあのエンデヴァーに体術の指導をしてもらっていた。
『雄英に行きたい！』と言った私を見て、エンデヴァーはまるで自分の娘がそう言ったかのように満足気な顔してたっけ。
…いや、そんなことしたら焦凍の機嫌がとてつもなく悪くなってしまいそう。そう、考えていたときだった。
「…Aか？何やってんだ？」
聞き馴染みのある低音にびくりと身体を揺らす。振り返ると、そこにはジャージ姿で佇む私を、完全に捉えた綺麗なオッドアイ。
「焦凍…！これから、走りに行くとこ。」
「なんで、」
" なんでお前が "とでも言いたそうな表情から思わず目を逸らす。次に続く言葉なんてきっとそうだ、と思う。
後ろで焦凍が何か言っている気配がしたけど、無視して走り出した。
焦凍は優しい。優しいからこそ辛いのだ。
焦凍から貰った『Aはヒーローになれるよ』という言葉が、私の芯となる言葉と言うことに変わりはない。
思い出す度に嬉しくて暖かい気持ちになるけれど、それと同時に辛いのだ。
きっと今の彼は、そうは
優しいから、幼い頃から一緒にいる幼馴染だから。私が、可哀想だから。それで気を使って私に優しい言葉をかけてくれているのだ。
「…そんな優しさ、辛いだけなのに。」
ぽつりと零れた言葉は、久しぶりの走り込みのせいで上がった吐息とともに空に溶けていった。
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作者名：浅葱。 | 作成日時：2021年5月25日 15時
