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あれから気を利かせてくれた由香は「席無くなるから先行ってるね！」と私を残して行ってしまった。…後で謝らないと。
ということで、今日の昼食は芦戸さんに誘われて、ヒーロー科の皆さんとご一緒させてもらうことになりました。
焦凍はいつの間にかどこかに行っていた。
…あ、あそこで蕎麦食べてる。
「改めて、芦戸三奈です！三奈って呼んで！Aちゃん！」
「ウチは耳郎響香。」
「葉隠透っ」
耳郎さんは耳からイヤフォンジャックが生えた、ちょっとクールで可愛らしい女の子。葉隠さんは、手がそこにあるからそこにいるんだろうけど、透明だ。
芦戸さ…、三奈ちゃんは、にこにこで話を続ける。
「いやぁ、Aちゃんは絶対同じクラスだぁ！って思ったんだけど、
B組だったんだね？残念。」
…そうか。
三奈ちゃんは私がヒーロー科だと思ってるんだ。
「私、ヒーロー科じゃないよ。普通科なの。
…改めまして、1年C組の言実Aです。」
務めて、冷静に、笑顔を浮かべる。
「えぇっ、それは雄英見る目なくない？改めてよろしくねっ、Aちゃん。」
「芦戸から聞いたけど、個性凄いんでしょ？本当に見る目ないわね。」
来ると思って構えていたリアクションと真逆で、驚いてしまう。豆鉄砲を喰らうとは、こういうことなんだろう。
「…可哀想とか、没個性だから、とか、思わないの…？」
「え、思うわけないじゃん。誰が評価したのか知らないけど、Aちゃんは本当に強いし、ヒーロー向きだもん！
それに、Aちゃんがなりたいなら、ヒーロー科じゃなくてもヒーローにはなれるしねっ。」
泣きそうだった。
必死に堪えても、溢れて止まらなかった。
突然泣き始めた私にぎょっとした3人だったけど、直ぐに暖かく笑って、背中を摩ったり頭を撫でたりしてくれた。
どうしよう、私、憧れてしまった。
私、もう一度、ヒーローを目指してもいいですか。
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作者名：浅葱。 | 作成日時：2021年5月25日 15時
