中原さんは頭が上がらない。 ページ16
「ぐっ…!そんな、どう、して……」
徳冨の声が響く。
部屋には置いてある物はほとんど地面にめり込んでいた。
「…もう終わりだ、諦めろ。」
俺は徳冨にそう云う。
相手との距離はわずか10m程。走れば直ぐに近づける
「嫌、だッ……!僕は妹の為に復讐するんだ!此処で無様に死ぬ訳には…!」
相手はそう云うも、もう対象者に引き付ける物は地面にめり込んでしまっている。
相手が武器も無しに、俺に勝てる訳が無い。
それでも諦めないのは。
――それほど妹を愛していたのだ。兄として、家族として。
けれど、俺も此処で止めて仕舞えば……
俺は少し目を伏せて考えてから、相手の所へ歩いて、そしてこう云った。
「向こうで妹に会ってやれ。」
そして相手の首もとにナイフを付けて、思いっきり切り付けた。
…その瞬間
「今行くよ、僕の大切な妹。……ありがとう」
徳冨はそう云って
――ほほ笑んだ様な気がした。
・
その後、優香と中也は倉庫を出て夜景を見ていた。
昔約束した夜景を見れて二人とも嬉しい__かも知れないが、二人とも無言だった。
それもそうだ。身内がマフィアに所属していている事を知って。人を殺す所を見られてしまって。
……楽しく話せる訳がない。
しかし流石に気まずいので、中也が話し掛けようとした瞬間
「中也!」
「うおえっ?!」
優香が急に中也の名を呼んだ。
中也は驚きの余り変な声を出してしまうが、優香は気にせずに云う。
「……私知ってたよ、中也がマフィアで人を殺していた事。血塗れのシャツで確信した。」
「……そうか。」
「待ってたんだ。中也から話して貰えると信じて……でも、中也は話してくれなかった。」
中也は無言で話を聞く。
「なんか嫌になって……それで此処に来たの。そしたら捕まった。」
でもね、と優香は続ける。
「中也が助けてくれて、ボロボロになっても諦めないでくれて。とっても嬉しかった。」
「だから。……どんなに中也が人殺しと云われても」
__「私の最高の兄で、ヒーローだからね。」
優香は笑顔で云う。
その途端、中也は勢い良く優香に抱きついた。
優香はうわっ!と言い、後ろに数歩下がって、中也を受け止めた。
「そんな風に思ってるなんて……本当、頭が上がらねぇな。…無事で良かった、優香!」
__はは、まったく……頭が上がらないのは、助けて貰った私の方なのにね。
そう優香が小さく呟いた事を、中也は知らない。
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チョーク(プロフ) - 雫さん» ああ!そうでしたか!こちらこそすみません>< 夢「雫様も私と同姓同名なのかと……!」わざわざありがとうございます!このネタは授業中に思い付きました← (2018年2月19日 17時) (レス) id: e74d4ea6bf (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - チョークさん» あぁ、わかりにくい書き方してごめんなさい!太宰さんに向かって夢主ちゃんが「同姓同名ですか?」って言っていたのでw (2018年2月19日 16時) (レス) id: 198a7174c6 (このIDを非表示/違反報告)
チョーク(プロフ) - 雫さん» ま、マジですか?!奇跡が起こった……だと?!((コメントありがとうございます!夢主ちゃん最高ですか?!嬉しいです……!作者の妄想の子達ばかりですけどね(笑) (2018年2月19日 15時) (レス) id: e74d4ea6bf (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - 同姓同名w夢主ちゃんサイコーwww (2018年2月18日 18時) (レス) id: 198a7174c6 (このIDを非表示/違反報告)
チョーク(プロフ) - お餅さん» ありがとうございます!畏まりました!書かせて頂きます^^*ほっこりするお話と云っていただき嬉しいです!後日談も宜しくお願いします! (2018年2月4日 14時) (レス) id: e74d4ea6bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チョーク* | 作成日時:2018年1月13日 15時