甲斐くんの彼女。

3月1日| ページ2

姿見の前に立って、結びなれたネクタイを直す。



「…よし」


いつもなら1回のところを、2回スカートを折って中身が入ってない鞄を肩にかけた。



「いってきます」



返事がない家を後にして、肌寒い気温に体を震わす。



今日は何を聞こう。


イヤホンをつけ、ポケット手をつっこめながら歩いていると、急に腕に何かが絡んだ。




「び、っくりした」



満足そうに笑う唯月は、私の右耳から慣れたようにイヤホンを自分の耳につけかえる。



諏訪「なにこれ。」


流れる音楽に眉を顰めた唯月に思わず苦笑い。


唯月「今時音楽の授業でもこんなの聞かないけど？」



「私だって聞かないよ」


諏訪「ﾊｧ？」


「あ、唯月におすすめしたい曲あったんだよね」


諏訪「あんたほんと謎」


「そんな私と仲良くする唯月も謎だけどね」


携帯を弄りながら言えば、隣で唯月が鼻で笑った。



…ただ表情は嬉しそうだけど。

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