。流星の絆。2 (ページ3)

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「…おーにぃ」

そんな昔の事を…アリアケのレシピを見ながら思い出していると…不思議そうに俺の顔を覗いてくるAが見えた。

功一「、ん?何?」

「おにぃ…泣いてるの?」

あの時と同じセリフに少しびっくりしたけど…多分こいつは覚えていないだろう。

功一「泣いてないよ」

そういって頭を撫でると…不服そうに唇を尖らす。

「おにぃ…いつもそういう」

功一「へ?」

「まぁ確かに…私じゃ頼りないかもだけど…一緒に暮らしてるんだよ?…少しぐらい…頼ってよ…」

ぎゅうっと俺のエプロンの裾を握りながら恥ずかしいのかボソボソとつぶやくA。

「…うわ!?」

そんなAを抱きしめると…色気のない声だ、

「ふふっ…ちょ…おにぃくすぐったいよっ…」

頭をぐりぐりと押し付けると、俺の髪の毛が頬に当たるのかそんな声が小さく聞こえる。

「おにぃ?……ぁ…きゃっ!?」

俺から離れようとするAの足が絡まりそのままｶﾞｸっと座り込んでしまった。

「…どうかしたの…、」

そっと顔を少し離すと…混乱したような様子のAの目が合う。

「…おにぃ…?」

小さい口から何度も発せられるその言葉。

「わっ…」

ぎゅっと強く抱きしめると…ふんわりとAの香りが鼻をくすぐった。

"おにぃじゃないよ"

…俺はお前の兄貴じゃない。

そう伝えられたら…どれほど楽なんだろう。

どれほど…君との距離ができてしまうのだろう。

『ハヤシライスお願いします…なんてね』

「へ!?」

急にそんな声が聞こえたかと思うと…ぐいっと無理やり体は離せられる。

『おぉ…珍しいですね。お水ください』

「あ、はい!」

慌てた様子のAを横目にゆっくりと立ち上がると…椅子に座ってニコニコとしている…戸上行成。

『ご主人!…そこで何やってたんですか?』

功一「別に。なんでもないですよ」

『ﾊｯ!も、も、もしかして…』

功一「あり得ませんよ。兄妹ですから」

「、」

そういって笑うと「ですよねー」と。

そう。…血が繋がってなかったらどんなに良かったか。

静奈じゃなく…Aだったらどんなに楽だったか。

なんて…どれほど俺は思ったか。

功一「…ﾌｯ」

静奈は血が繋がっていない。

けど…Aは正真正銘俺たち3人の妹だ。

唯一…父ちゃんと母ちゃん両方の子供。

俺たち兄妹をつなぐ…大切な妹。