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「緊張してるの?」


後ろから顔を出してきて、そんなことを聞いてきたA。


隆弘「バカ、ちげぇわ笑」


軽く頭を叩くと、目を細めて笑う。


…結局。忙しい毎日のせいで日高とのことを聞けないままライブの日が来てしまった。


一所懸命考えていた衣装を身に包むAは、当たり前だけど普段よりもかわいい。


「10周年ですからね」


隆弘「…早いねぇ」



…この想いも10年間…伝えれないまま膨らんでいった。


「ふふ、にっしーおじさんみたい笑」


隆弘「ダンディーだろ?」


「ううん」


隆弘「真顔は辛いわ…」


俺の反応を見てケラケラと笑うA。


10周年というわけで、昔の歌も少し多めに歌う今回のライブ。


っていうことは…必然的にAのパートが多いってわけだ。


パートの多さで色々あったA。


…まぁもう一人の方は…きっと今でも必死に隠しているんだろう。


その劣等感故の不安を。



隆弘「ん、大丈夫。なんかあったら俺が助けてあげますよ」


「だったらリーダに助けてもらう」


隆弘「直也くんはお客さんの事で忙しい」


「にっしー最低。にっしーはファン第一じゃないんだ」


隆弘「ファン第一ですよ?」


「でしょうね笑」


スタッフさんが俺たちを呼びかける声が聞こえ、「はーい」とAが動く。


「え、うわうわ……にっしー?」


小さいけど…色々なものを背負った背中から抱きつくと心配そうなAの声。



「にっしー…スタッフさん呼んでるから早くしないと、」


気にしてなさそうに言う彼女の耳は赤い。




あぁ…なんだ、意識されてるじゃん。




隆弘「Aは特別だからね」


「はぁ?」



隆弘「…だからAがもし助けてほしいなら俺はすぐに駆け付けるよ」


「はー、それはどうも。嬉しいよ」


雑に俺の頭を頑張って撫でるA。


隆弘「…日高や真司郎よりも」



その言葉にAの手が止まった。


隆弘「…んじゃ、行きますか」


「え、ちょ…」


隆弘「スタッフさん…呼んでるよ?」


その言葉に、納得いかなさそうなA。



…ここで少しでもAの本音を聞き出してしまえば、



俺はきっとAAAの西島隆弘ではいられなくなる。

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ましゅ(プロフ) - とっても大好きな作品です!キュンキュンドキドキの連続でたまりません…続き楽しみにしております!無理のないよう更新して下さい (2018年9月7日 22時) (レス) id: eadb1e86ec (このIDを非表示/違反報告)
オーバー - めちゃくちゃこの作品好きになりました!!キュンキュンな予感でヤバいです!!更新頑張ってください!!応援してます!! (2018年1月4日 12時) (レス) id: 63443bc164 (このIDを非表示/違反報告)
ちなつ(プロフ) - めっちゃ面白いです!更新頑張ってください! (2017年9月3日 1時) (レス) id: 0960116b24 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽかぽか笑顔 | 作成日時:2017年9月2日 20時

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