【凪のあすから】変わらない景色。5

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「まなかは?」

光「寝坊。今日は待たないで行って、だってよ」

「まなかそういうところ頑固だからな〜…怒られそうだから、素直に従っとこ」

光「要は?」

「同じ理由」

光「珍しいな」

「…昨日遅かったみたいだからね」

光「ふーん…じゃ、行くか!」

「、ちょ…!」

急に私の手を引っ張って泳ぎ始める光。

いつだって眩しくて遠かった光の背中は…やっぱり大きい。

光「なんだよ」

「ううん…なんでもない」

そう言って微笑めば、照れくさそうに口を尖らせて前を向く。

…握られている手。

前までだったら嬉しくて悲しくて…胸が苦しくなっていただろう。

でも今は…

光「うわっ!」

「ほら、光!早くしないと遅れちゃうよ!」

泳ぐペースを速めて、繋がれた手でぐいっと光を引っ張ていく。

光「、…わかってるよ!」

少し嬉しそうに笑った光は…そう言って変わらない笑顔を見せてくれた。

変わった気持ち。

それと同じように…このつなぐ手への感情も変わった。

「すきだよ、光」

陸に上がった後、眩しそうに手をかざしながら太陽を見つめてる光に言う。

光「ん、ありがと」

「なにそれ笑
照れたりしないの〜?」

光「バーカ!!!誰がするか…!!」

「はいはい笑」

光「ったく…」

そう言いながらも、頬が少し赤いですよ、光さん。

「まぶしっ…」

手をかざしながら見つめる太陽。

海の中での太陽はキラキラ揺れていて…遠い存在。

「でも今は…近いんだよね」

光「?」

隣に立っている不思議そうな表情の光をじっと見つめると…光は恥ずかしそうに頬をポリポリとかいた。

「…いこっか」

目を細めて笑いながら言うと、ﾆｶっと笑う光。

光「んじゃ、あそこまで競争な!」

「えっ、ちょ「よーい、どん!!」

「ずるっ!」

ずっと彼の背中を追いかけてばっかりだった中2。

光「ﾁｯﾁｯﾁ、遅いな〜莉菜くん」

「はぁっ…それは光がずるしたからっ…!」

ニヤニヤと笑う光にそう言いかえせば「負けは負けだからな〜」なんて。

「ほんと…3年生になっても子供のままなんだから…」

光「それはいいんだよ!それは!」

もうずっと、彼を好きな私じゃない。

「おこちゃま」

光「うっせ」

彼の隣に立って笑えていれればいい。

それは…彼の幼馴染として。

「皆と同じクラスが良いな〜」

光「まぁ、人数少ないから誰かはいるだろ」

「そうだけど!」

光「お前は要がいればいいだろ?」

「それ、光が言う?」

だって…私にも彼にも…見つめるべき人がいるから。

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