【凪のあすから】変わらない景色。3

123 ページ23

先生「編入明けというか、休暇明けというか、まぁ、そんな感じでクラスに加わることになる、先島光くんと星野莉菜さんだ。

光「ダブりの先島です。
どうぞ、先輩と呼んで尊敬してください」

そう言って豚の足を示すと、クスクスと楽しそうに笑い声があがる。

光「ほら、莉菜も言えよ」

ぼーっと地面を見つめていた莉菜にそう告げると、慌てたように返事をした。

「え、えっと…星野莉菜です。
よろしくお願いします」

ぎこちなく笑った莉菜。

…昨日、急に走っていったと思ったら…遅くに帰ってきた莉菜。

そんときからこいつは、ずっとぼーっとしている。

『先輩!エナ、見せてくださいよ、エナ!』

『お船引き!私覚えてますよ!』

『あの後はっぴ、流行ったんだよね!』

光「はっぴ流行るってどんなだよ。
な、莉菜」

「え?あ、うん…そうだね」

頬杖ついてた莉菜に聞くと…やっぱりぎこちない。

光「わりっ。先輩ちょっと座ってい?
年寄りだから疲れるんだわ」

そう言って椅子に座ると、楽しそうに笑ってくれた。

まぁ隣の人はぼーっと……美海を見つめている。

違う…多分あいつは……

さゆ「そのたこすけまだ病人だし、あんまイジっちゃだめだから」

光「お、久しぶりに聞いたたこすけ」

さゆ「2人ともおんなじこと言う」

不機嫌そうにそういうさゆ。

2人?

『そういや、先輩っておじさんになるの?潮留の』

『ってことは、美海は姪?』

光「あーでも、おじさん呼びは勘弁な」

「おじいさんって呼んであげなよ」

急に口を開いてそう言った莉菜。

他のクラスメイトも莉菜が喋ってくれたことが嬉しいのか、頬を緩めた。

光「はー?だったら、お前ばあさんだからな」

「私は莉菜って呼んでいいよ。
光みたいに威張らないから」

光「なっ…莉菜!てめぇ…」

クスクスと笑う莉菜。

でも…その表情はすぐに寂しそうに変わる。

やっぱり…なにか物足りねぇ。

…3日前にはあったあの楽しさが。

うるささが…

124→←122

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す