甲斐くんの彼女。2 (ページ45)

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水越「先生が..澪奈のフェイク動画をベルムズに依頼したんでしょ?」

坪井「何言ってんだ..そんな訳ないだｰｰ水越「正直に話して!!」

水越「じゃなきゃ私達が死ぬの!!」

坪井「だから俺じゃない!!」

水越「嘘!!私を追い詰めたように、澪奈にも同じことしたんでしょ!?

..たった1日..練習を休んだだけなのに..病院に行っただけなのにｯ..なんで私から水泳を取りあげたの!?
私は水泳が好きだった..誰よりも努力してきた..なのにどうして..?」

坪井「水越..」

水越「私が蓮と付き合ってることにムカついたんでしょ?
自分に靡かなかったから私を切ったんでしょ!?
澪奈に対しても、自分に気がないって分かったから、私と同じように追い詰めた!!
でしょ..?

黙ってないでなんとか言いなよ!!」

校長「それは違います、
坪井先生..ほんとの事を伝えるべきだと思いますよ」

水越「何..ほんとのことって..何が違うって言うの言ってみなよ!!」

坪井「..確かにお前は誰よりも努力してた。
毎日毎日、暗くなるまで泳ぎ続けて、筋トレもして、俺が教えてきた子の中で1番頑張ってたよ。

でもな..それがいけなかったんだ。」

水越「どういうこと..?」

坪井「あの日..お前が練習を休んだ日、お母さんから連絡があった。
一緒に..医者の話を聞いてくれって」

＿＿涼音さんは、運動誘発性の"致死性不整脈"です。

＿＿過度な練習によって不整脈を起こし、そのまま運動を続けると、失神や心肺停止になる恐れがあるんです。

＿＿ですので、今後はハードな運動は控えてください。

＿＿残念ですが..選手を続ければ命を落とす可能性があります。

涼音が..病気だったってこと?

坪井「俺は..お母さんにお前を説得するよう頼まれた。
自分が言えば、お前は無理してでも大会に出るだろうからって。
でも..俺が言っても同じだと思った。
俺には..あぁいうやり方しか思いつかなかった」

水越「なにそれ..全部私のためだったって言うの?」

坪井「でも..結果的に、それがお前を苦しめていたんだな。
ほんとに..申し訳なかった..!!」

水越「ずるいよ..なんで今更..?
そんなの無いよ..!!」

涼音のすすり泣く声だけが教室に聞こえる。

柊「水越」

眼鏡をかけた先生が、音を立ててパソコンを閉じた。

..怒っている、今の先生は。