甲斐くんの彼女。2 (ページ28)

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柊「そんなに喜志が怖いか?

それとも、喜志のおかげで手に入れた名声を失うのが怖いか?」

諏訪「..そうだよ。
喜志を裏切って今の地位を失いたくない!
それの何が悪いの?」

水越「唯月..」

諏訪「あいつといれば何でも手に入る!!
お金にも困らないし、コネでメジャーな事務所にも入れる!!ライバルだって何にも言わなくても蹴落としてくれるし、おかげで雑誌の表紙まで飾れた!!
こんな美味しい立場手放す理由(ワケ)ないでしょ..?」

甲斐「お前ベルムズがどういうやつか分かってｰｰ諏訪「関係ないし!!」

諏訪「実際私はフェイク動画のことなんて知らなかった。
私は悪くない!!

..何その目」

皆を見回して、隣の涼音と愛華に問掛ける。

諏訪「笑いたきゃ笑えば!?
偽りの力にしがみついてみっともないって!!」

そんな唯月がまた、私を見た。

不安気な瞳で

諏訪「間違ってることぐらい分かってる..!
でも私はこうやって生きてきたからｯ!!
こうやって生きるしかなかったからｯ!!」

茅野「..笑えるわけないよ」

嗚呼、本当に茅野が羨ましい。

茅野「後戻り出来ないから進むしかない。
あんな辛そうな顔で言われたら..笑えるわけないよ」

私が伝えたいことを..はっきりと伝えることが出来る茅野が。

逃げずに向き合える茅野が。

柊「諏訪。」

諏訪「なんだよ!?」

柊「お前は間違ってない!
皆..お前と一緒だよ。
迷って..もがいて..途方に暮れて..
それでも..正解を求めて前を向く。
進んで..進んで..駄目なら、傷つきながら引き返す。
で、また歯を食いしばって、前を向く!
皆みっともないんだよ!!

でも..それでいい。
それがいい!!
恥を繰り返して、強くなるんだよ。
いいか?
恥をかかずに..強くなれると思うな!!
だから、諏訪!!

お前のこれまでは、誰がなんと言おうと絶対に間違ってない!!」

唯月は認めて欲しかったんだ。

コネでも努力してない訳じゃない。

認められてる..澪奈が羨ましかったんだ。

諏訪「おかしいなｯ..なんで泣いてんだろ私ｯ..なんで涙が止まらないんだろｯ..」

「唯月..」

涙で濡れた瞳が私を見つめる。

ただその瞳はさっきと違って..不安など何もない

綺麗な瞳だった。