神の裁き

neuf ページ10

「ユウ！いい加減怪我見せろ!」


村を出た後俺は早速ユウの治療をしようとした


だけどあいつは、ことごとく拒みやがって


なんだかんだしているうちにもう汽車の中だ....


「チッ....」


何を言ってもあきらめまいとイノセンス片手に睨む俺に


ユウは舌打ちを一つかましてくれた.....



イラッ



「そうかそうか、俺の治療が嫌ならゴズにやってもらおうな〜」


ユウは他人に触られるのを極端に嫌がる


こんな手を使ってでも俺はユウにあの力を使ってほしくはないのだ


胸元に広がる呪符が広がるたびに俺がどんな気持ちになるはあいつは分かっていない


「はぁ....好きにしろ」

俺の根気に負けたのか諦めたようにコートを脱いでくれた


「んじゃ、なんかリクエストある？」


今聞いたのは治療のために出す楽器の好み


「なんでもいい」

「んー場所も場所だから音が静かなハープかな〜」


「イノセンス発動、ベルスーズ＝ソワン『ハープ』」


手に収まるほどのハープで頭に浮かんでくる曲を弾く

ソワンとは治療の意


ちなみにアクマを破壊していたのはキャッセ、壊すの意




このベルスーズでできないことはない


俺の体がもつ限りは....



でもノワール･アンストリュマン本来の力ではない


ノワールは振動を操るだけのイノセンスだ



今ユウを治療することやアクマを音で破壊できているのは


俺のもう一つの....


「A、もういい」


「っあ...」


飛んでいた意識をユウの方へ向けるともう傷はふさがっていた


けれどあの呪符は消えてはくれない


ノワールを戻して、ユウに近づく



「ユウ....」



ひた....、そっと呪符を撫でる


ユウに張り付くこの忌々しい黒


どんなに俺が願ったって消えてくれることはない



それは、ユウが消すことを望んではいないから



そんな俺の頭をユウの大きな手がなでつける


俺が俯いているせいでユウの顔色は分からない


「A....」


ユウの大きな手が俺を目の前の大きな胸に引き寄せる


目の前に広がるのは忌むべき黒


それを完全に憎めない俺....


その鎖でさえも愛しいと思ってしまう俺は、きっとおかしいのだろう



どうかこの愛おしい人を俺から奪っていかないでおくれ


俺たちにはまだやらなくてはいけないことがあるんだ


それが終わったら....


喜んで闇に落ちよう







だからそれまでは.....



そんな思いを込めて目の前の闇にそっとキスを送った

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