神の裁き

quatre ページ5

〜神田side〜

Aに止められたため素直に従って六幻を収める
俺が何も言わずに従うのはAだけだ
きっと俺はAの強さを認めているし
Aも俺の強さを認めているからだろう

ヴィブラシオン、フランス語で『振動』

最初にこの技を見たとき奇妙だが便利だと思った
それと同時に何かしら体に影響があるのかとおもいその仕組みについて尋ねたことがある
超音波とか周波数とか共鳴とかよく分からないことを言っていたが
集中力を使ううため身体に負担がかかることは理解した

だからこの技を使った後は俺がアクマを壊すのが普通だが
まれに例外がある

「いくよ？ベルスーズ」
の胸元の宝石が形を変えフルートの形を作る
ベルスーズとはフランス語で『子守歌』という意味らしい

例外とは大勢のアクマに囲まれているときだ
俺の体のことを知っているAはなるべく俺に負担をかけないようにしてくる

甘いな、俺はアクマを壊すだけにこの世に生まれてきたと思っている
だが、この甘すぎる奴と一緒にいることが心地よくなってきているのも事実だ

Aがフルートをかまえる
そしてゆっくりと息を吸い込み歌口に息を吹き込む

Aの奏でる曲は悲しいものが多い
自分の音を聞いただけで爆発してしまうアクマを悲しむように
アクマになるほどの悲しみを背負った者たちへの慰めのように

その音は醜いアクマの爆発音とともに森に響き渡っていた

〜主side〜

「こんなもんかな」

....あとはそこに隠れているのを確認するか
ビビらせて逃げられても厄介だしな、出てくるのを待つか

かさりという木の葉を踏む音が届いた。神田が六幻を抜いて問う。

「誰だ！」

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