ひと口どーぞ月島君！3 (ページ5)

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烏野の試合が終わって、私はまだギャラリーに残ってた。
隣のコートでちょうど青城の初戦やってて、たぶん皆見に来ると思ったから。

参考にでも、と思って青城の分も試合の記録を取ってる。
徹のサーブも好調みたいで、もう第2セット目。
相手はやっと10点に乗ったばっかり。

「あ、お疲れ様です！」

上がってきた部員達を労い、蜂蜜レモンを手渡す。

「途中からしかないですけど、スコア見ますか？」

大地さんにノートを手渡すと、レモンを手にした選手達が集まってくる。
タッパもう空じゃん！？

「及川、好調みたいだな。」

「最初のうちは少しサーブミスもありましたけど、1セット目終盤にはもう調子取り戻してました。」

また徹のサーブが決まる。
これで連続4本目のサービスエースだ。
日向がビビリまくってる。

「確かにサーブは怖いけど、セッターとしての及川は俺たちにとって完全に未知だ。」

練習試合では徹のセットアップは見れなかったし、正直私も青城のセッターとしての徹を見るのは今日が初めてだ。
自分の受験もあったから、去年は2人の応援に行ってなかった。

「すげー滑らかな連携だな。」

徹とはじめちゃんの速攻を見た菅さんが、感嘆の声を上げる。
普段はケンカばっかりでも、2人の呼吸はぴったり。
だてに何年も幼馴染みやってない。

烏養さん達もしかめ面で試合を見てる。
空気が重いよ！
試合前日からこんなんじゃダメだって！

「大王様かっけぇ！早く試合したい！」

「サーブ俺の狙ってくんねぇかなぁ！とりてえ！」

日向とノヤっさんは大興奮のようで、少し安心した。
皆な表情も少し和らぐ。

「大丈夫ですよ！今日の試合もかっこよかったですから！」

私が立ち上がって大地さん達に言うと、それを聞いたノヤっさん達のテンションはさらに上がる。

「あっオイ見ろ翔陽、A！テレビだぞ！」

「えっ！テレビ！？」

「本当だ！映ってる！？」

民放のカメラだろうけど、テレビはテレビだし。
3人で身を乗り出して手を振ってみると、客席の真下にいたおじさんがこっちを睨む。

「こらー、そこの中……小学生かな？少し静かにね」

んなっ、小学生……！
確かに私達平均より小さいし、落ち着きなかったのも悪かったけど……！

後ろで聞いていた先輩達にさんざん笑われた。