ひと口どーぞ月島君！3 (ページ12)

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「あと1点！」

「もう1本！」

第2セット烏野のセットポイント。
あと1点で、青城から1セット取れる。

のに、

「ここで及川のサーブか……！」

コート内の緊張感は最高潮。

「けど、ここでミスったら青城はこのセット落とすわけだし。」

嶋田さんはそう言うけど、ここで思いっきり打つから、徹は徹なんだ。

天才じゃない。
でも、誰より真面目で、何よりもバレーが好き。

徹だって挫折がなかったわけじゃない。
でも、はじめちゃんがいて、仲間がいる。

私はずっと横で見てきた。

サイドラインギリギリに今日1番の強打。
何とも徹らしいサーブは、ノヤっさんが上げたけど、直接青城に返ってしまう。

センターからの速攻に飛びつこうとした蛍を、飛雄が引き止めた。

徹が選んだのは、はじめちゃんの攻撃。
追い詰められた場面で見せた、2人の信頼。

2枚ブロックは、力強いスパイクを床に叩きつけた。

「「うおっしゃあああ！」」

烏野がセットを取り返した。
そのことに会場は大いにざわめく。

やっぱり、飛雄は変わった。
今までなら選手同士の信頼感とかそっちのけで、確実性の高い攻撃に飛びついてたはず。

他人への信頼を覚えた。

バレーにおいて1番と言ってもいいくらい大切なこと。
今までの飛雄に1番欠けていたこと。

それを、たった数ヶ月で覚えた。

烏野に来たから。
このチームだったから。

「最終セット、頑張って！」

私の言葉は、どっちのチームに向けたものだったのかな。

どっちもなのかもしれない。