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漆拾陸 ページ29

「「ありがとうございました!」」


部活が終わった。


私の、最後の部活が。


これで私と杏寿郎様は梟谷を去る。


「君達は強く、逞しい。そしてもっと成長出来る!己を信じて心を燃やせ!」


「「あス!」」


全員の視線が、今度は私に向けられる。


「何だか、上手く言えませんね。……これを。」


先程書いたノートを京治君に手渡した。


「皆さんには、感謝してもしきれません。本当にありがとうございました。……試合、楽しみにしています!」


「「……っあス!!」」


私も皆さんも、涙でグシャグシャだった。


けれど、全員笑顔だった。


「よしA!今日は俺におごらせろ!」


「ふふふ、じゃあお願いします。」


「俺もおごってやるぜ焔!」


「今日くらい先輩らしいことさせてくれよ。」


もう抱えられない程たくさんの物をいただいたのに。


仲間と、楽しい時間と、感謝と、笑顔と。


「ありがとうございます……!」


私はここが大好きだ。


きっと、杏寿郎様も。


「よし!少年達には俺が奢ろう!」


「うぉお!離れても兄貴は俺の兄貴だからな!」


「勿論だ!」


騒々しくジャージのままでコンビニへ向かう。


歩き慣れた道の一つ一つすら愛おしかった。


「たまに遊びに来いよ!」


「良いんですか?」


「あたりまえだろ!引っ越すわけじゃねぇんだし。」


木兎さんがあまり重く捉えていない事も嬉しかった。


「いじめられたら戻ってきてもいいぞ。」


「出戻り大歓迎だ。」


「俺らが恋しくて泣くんじゃねぇぞ。」


木葉さん達は私を何だと思っているのでしょう。


「皆さんこそ、私が居なくても元気で居てくださいね。あと、憐君を困らせないように!」


三年生が引退したら、マネージャーは憐君一人になってしまう。


優秀だから大丈夫だろうけれど、四日しか教えてあげられなかった事が気がかりだ。


今もじっと私の事を見つめている。


「俺は先輩が恋しくて毎晩泣いちゃいます。」


隣の私にしか聞こえない声で言った憐君。


もう慣れたけれど、会ったばかりの私にどうしてそこまで執着するのか。


コンビニに着いて、杏寿郎様達は意気揚々と店内へ入っていく。


「A先輩、外でお喋りしませんか?」


「お喋り、ですか?構いませんが。」


憐君と二人、駐車場で皆さんを待った。

漆拾漆→←漆拾伍



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noel(プロフ) - みおさん» ありがとうございます!ゆっくりのペースですが完結まで頑張ります! (2022年3月21日 19時) (レス) id: 546d15b4fb (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - ずっと更新待ってます!!!!!! (2022年2月28日 23時) (レス) @page22 id: 861da81337 (このIDを非表示/違反報告)
noel(プロフ) - ゆきなさん» 不定期作品に付き合っていただいてありがとうございます!これからもよろしくお願いします^_^ (2020年7月19日 18時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - これからも無理せずに頑張ってください!楽しみにしてます! (2020年7月19日 16時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
noel(プロフ) - 苑歌さん» ありがとうございます^_^ 今後も頑張ります!! (2020年7月19日 15時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:noel | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/noel_2/  
作成日時:2020年7月19日 12時

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