漆拾参 ページ26
「お疲れ様でした。」
今日の部活はいつもよりも長かった。
更衣室に残った部員に声をかけて帰る。
Aが部活に来るのは明日まで。
舞木は優秀で、ファンクラブまである人気者なんだとか。
正式に入部も決まった。
ただ気になるのは、A以外の名前をなかなか覚えないし、時々感情の無い眼をする。
一度、煉獄先生を睨みつけていたのを見たことがある。
空気が凍りそうなほど冷たい視線だった。
はっきり言って苦手だ。
けれど、Aに不安を抱いたまま出て行って欲しくない。
俺以外は舞木のことを気に入っているようだし。
その時、正面から何か黒い影が飛んできて、俺の横を走り去っていった気がした。
暗いし、速くて、何かわからない。
猫か、もしくは気のせいかもしれない。
「赤葦先輩。」
不意に背後から声をかけられた。
舞木だ。
「一緒に帰っても良いですか？」
「構わないよ。」
「ありがとうございます。」
綺麗だけれど、Aとは違ってどこか浮世離れしたような冷たい笑顔。
何を話すでもなく、ただ俺の左側に並んで歩く。
俺はあまり話し上手な方ではない。
舞木は人付き合いもいいのに、なぜ何も話さないのか。
「部活は上手くやっていけそうか？」
「はい。」
「舞木はどうしてマネージャー？運動神経もいいのに。」
「……。」
いつまで経っても返事がない。
「舞木？」
横を向くと、舞木は静かに涙を流していた。
「おい、大丈夫か？」
唐突な出来事に、俺も戸惑ってしまう。
「僕、仕事の覚え悪いですか？」
「よくやってると思うよ。」
「じゃあ信用されてない。」
「まだ三日だろ。うまく馴染んでる方だ。」
何がそんなに気になっているのか。
泣かれるとさすがに心配で、立ち止まって舞木の端正な顔を見つめる。
「……A先輩、僕の事が嫌いなんでしょうか？」
「それはないと思うけど……。」
仮にそうでも、Aが態度に出すわけがない。
「仲良くなりたいのに上手くいかなくて。赤葦先輩はどうして仲良くなれたんですか？」
「どうしてって言われても……。」
「僕は上手く出来ないのに。」
涙が止まった舞木は、あの冷たい眼で俺を見る。
「でもA先輩って、赤葦先輩と居ると苦しそうですよね。」
「は……？」
さっきと同一人物とは思えない薄ら笑いは、この上なく不愉快だった。
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noel(プロフ) - みおさん» ありがとうございます！ゆっくりのペースですが完結まで頑張ります！ (2022年3月21日 19時) (
レス) id: 546d15b4fb (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - ずっと更新待ってます！！！！！！ (2022年2月28日 23時) (レス) @page22 id: 861da81337 (このIDを非表示/違反報告)
noel(プロフ) - ゆきなさん» 不定期作品に付き合っていただいてありがとうございます！これからもよろしくお願いします^_^ (2020年7月19日 18時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - これからも無理せずに頑張ってください！楽しみにしてます！ (2020年7月19日 16時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
noel(プロフ) - 苑歌さん» ありがとうございます^_^ 今後も頑張ります！！ (2020年7月19日 15時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：noel | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/noel_2/
作成日時：2020年7月19日 12時
