陸拾伍 ページ17
「俺の足踏むんじゃねぇ紋逸！」
「お前こそ俺の顔面潰れてんだって！」
「どさくさに紛れて甘露寺に近付くな。馴れ馴れしくするな。触れた腕を斬り落としてやろうか。」
「まだなの……？木目数えるのも飽きてきたよ。」
なぜこんな暗い室内で狭苦しく隠れているかと言うと、杏寿郎様を驚かせる為。
そろそろ見回りからお帰りになる筈。
「カァ！」
鴉が一度鳴いたら、二人が帰ってきた合図。
全員息を潜め、極限まで気配を殺す。
「何だ！暗いぞ、Aは帰っていないのか！？」
「もう寝ているんじゃないですか？」
しのぶ様が玄関から座敷まで誘導してきてくれる。
部屋の扉が開き、明かりが点くと同時に飛び出した。
「「お誕生日おめでとうございます！！」」
こうやって驚かせるのも、本日二度目。
襖の陰や畳の下、天元様に至っては壺の中から。
さすが元忍。
「よもや！」
「Aが数日前から準備していたんですよ。怪我してるのに。」
「もう許してくださいしのぶ様……。」
「俺達も手伝ったんです。Aさんばかりに負担はかけてないので安心してください！」
「甘味も一緒に作ったんです〜。」
「甘露寺が行くと言うから来ただけだ。ついでに祝ってやらなくもない。」
「俺様が派手に祝ってやる！」
「ケッ！わざわざ来てやったんだ、酒にくらい付き合えよォ。」
口々に祝いの言葉が飛び、杏寿郎様も言葉を失っている。
「こちらに座ってください。よろしければこれを。」
私が差し出したのは、『本日の主役』のたすきと冠。
パーティーやる！と言って聞かなかった木兎さんが独断で買った物だ。
その気持ちを少しでも届けてあげたかった。
「いつも主役は俺様だからな！今日は兄貴に譲るぜ！」
「似合ってますわ、煉獄さん！素敵！」
「おい煉獄、今すぐそのふざけた飾りを取れ。甘露寺の視界から消えろ。」
「ド派手で良いじゃねぇか！」
「ハッピーバースデーと書いてあるな。」
「あら、冨岡さんも英語が読めたんですね。てっきり脳き……体を動かすことにしか興味がないのだと。」
もう屋敷の中は収集がつかない。
柱や隊員がこんなに気を抜いて騒ぐなんて、初めての事だった。
「素敵なお誕生日になりましたね。」
「うむ！ありがとう！」
「改めて、おめでとうございます杏寿郎様。」
暖かい空気の中、キメツ学園に行く事への不安はほとんど無くなった。
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noel(プロフ) - みおさん» ありがとうございます！ゆっくりのペースですが完結まで頑張ります！ (2022年3月21日 19時) (
レス) id: 546d15b4fb (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - ずっと更新待ってます！！！！！！ (2022年2月28日 23時) (レス) @page22 id: 861da81337 (このIDを非表示/違反報告)
noel(プロフ) - ゆきなさん» 不定期作品に付き合っていただいてありがとうございます！これからもよろしくお願いします^_^ (2020年7月19日 18時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - これからも無理せずに頑張ってください！楽しみにしてます！ (2020年7月19日 16時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
noel(プロフ) - 苑歌さん» ありがとうございます^_^ 今後も頑張ります！！ (2020年7月19日 15時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：noel | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/noel_2/
作成日時：2020年7月19日 12時
