伍拾 ページ2
「木葉さん！」
「ナイスキー！」
合宿も最終日。
練習試合は白熱した物になっていた。
正直、声を張ると肋骨が痛い。
傷や毒はともかく、骨の治癒は呼吸や薬でもなかなか早める事ができない。
「無理するな！」
「この程度耐えられなくてどうしますか。眼や脚が無くなるのに比べれば、痒くもありません。」
強がりではない。
前世は最終的に左眼と右脚を失い、肺を鬼の腕が貫通した。
「君が傷付くのは見たくない。」
「……そんな顔をされたら、余計に胸が痛いじゃないですか。」
昼食は監督達に作らなくて良いと言われたので、今もスコアを付けていた。
ちなみに今、木兎さんがこの合宿で初めてしょぼくれモードを発動中。
昨晩よく眠れなかったらしい。
鴉に襲撃されるなんて、人によっては相当なトラウマになるはず。
仕方なかったとはいえ、申し訳ない。
何とか一セットを勝ち取り、二セット目。
そろそろ木兎さんにも復活してもらわなければ。
「ナイッサー！」
また肋骨を痛めていると、開け放しの扉から黒い物体が飛び込んできた。
「ぎゃっ！何これ！？」
「俺、鳥類無理なんだけど！！」
「キャーッ！」
休憩中の選手達も大騒ぎになり、一旦中断された試合。
胸騒ぎがして走り寄ると、ボロボロになった鴉が床に伸びていた。
蒼葉……ッ！
翼が折れていて、腹部には引き裂かれたような傷。
出血も酷い。
「焔！下手に触るな！」
監督達に止められるが、無視して部屋へ走った。
誤魔化すのは杏寿郎様に任せます！
「悪イ……気付カ、ナカッタ。……クァ…。」
「話さなくて結構です！止血しますから、動かないでください！」
傷は明らかに爪で引き裂かれた物。
鬼だ。
こんな昼間に、どうして……！？
違和感はあった。
昨日の鬼はあの頃よりも強さを増していた。
「以前とは違う……。」
考えたくもないが、日光を克服した鬼が居たのだとしたら？
「隠ヲ呼ンダ！スグニ来ルカラ蒼葉ハ任セロ！」
杏寿郎様の鎹鴉が窓の外で鳴いている。
「ありがとうございます。」
傷口には包帯を巻き、折れた翼は固定した。
ひとまず手持ちの薬を飲ませ、タオルの上に寝かせる。
しばらくすると眠ったようだった。
隠の方に蒼葉を預け、ついでに昨日の報告も頼んだ。
私のせいで蒼葉が傷ついた。
次は……？
鳥肌が立つ。
「平和ボケは終わりです……。」
私の言葉は誰の耳にも入らなかった。
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noel(プロフ) - みおさん» ありがとうございます！ゆっくりのペースですが完結まで頑張ります！ (2022年3月21日 19時) (
レス) id: 546d15b4fb (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - ずっと更新待ってます！！！！！！ (2022年2月28日 23時) (レス) @page22 id: 861da81337 (このIDを非表示/違反報告)
noel(プロフ) - ゆきなさん» 不定期作品に付き合っていただいてありがとうございます！これからもよろしくお願いします^_^ (2020年7月19日 18時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - これからも無理せずに頑張ってください！楽しみにしてます！ (2020年7月19日 16時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
noel(プロフ) - 苑歌さん» ありがとうございます^_^ 今後も頑張ります！！ (2020年7月19日 15時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：noel | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/noel_2/
作成日時：2020年7月19日 12時
