肆拾玖 ページ1
「遊ぼうよ、お姉ちゃん。」
見た目は十歳程の男の子。
あの頃の私はまだ未熟者で、弱そうに見えた鬼を斬る事を躊躇った。
「生憎、そんな暇はありません。」
今の私は躊躇などしない。
大切な方々を守る為だ。
「ヤだヤだ！遊ぼう？」
「では私が聞く事に答えてください。貴方は話が出来そうですので。」
「ヤだ。」
「駄々っ子ですか。」
地面を蹴り、高く上に跳躍。
この鬼の血鬼術は、人形を操る物だったはず。
地上に居れば足を捕われる。
「あは、遊んでくれるんだね！」
「人の話はちゃんと聞くものですよ。」
前世はそれ程速い鬼ではなかった。
落ち着いて戦い方を考えれば、苦戦する相手ではない。
「前はお兄さんに邪魔されちゃったからなぁ。いっぱい遊ぼうね！」
電柱を蹴り、鬼に向かって直進している途中、柔らかい物に身体を包まれ、次の瞬間締め付けられる。
「くっ！……ぁっ！！」
「見て見て！僕のお友達も、こんなに成長したんだよ！」
私の身体を握る大きな人形。
だんだんと力が強くなっていき、骨が軋む。
「このっ……！離しなさい！」
腕を斬り落とすと、人形は再生しないらしい。
「もう、新しいお友達なのに！お姉ちゃんなんか嫌い！」
「好かれたくありません。一つだけ聞きます、貴方達はどうやって蘇ったのですか？」
「教えない。お姉ちゃんなんか潰れちゃえ！」
「交渉決裂ですね。炎の呼吸 弐ノ型 昇り炎天」
前世程の速さは出なかったが、一太刀入れるには充分。
しかし、首を斬り落とすには少し浅かった。
「ほら、足下見ててよ！」
「っ、肆ノ型 盛炎のうねり」
足下の小さな人形達をなぎ払う。
それと同時に、鬼の身体が溶け始めた。
「あれ、何で！？何でぇ！！」
「毒ですよ。」
しのぶ様に送ってもらった毒。
念には念を、と思って仕込んでいたのだ。
「僕、強くなったのに……。」
「そうですね。けれど悪い事をする為の力なんて、無い方がマシです。来世は良い子になりましょう。」
「そしたら、次は、遊んで……くれ、る……？」
「勿論です。」
男の子は年相応に笑って、溶けていった。
亡骸に手を合わせていると、蒼葉が呼んだのか、杏寿郎様が出てくる。
「大丈夫か！？」
「はい。肋骨にヒビが入った程度です。」
杏寿郎様に無理矢理部屋へ押し込まれ、翌日の稽古も禁止された。
結局その後は一体も鬼は出ず、何とか二人とも休む事ができた。
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noel(プロフ) - みおさん» ありがとうございます！ゆっくりのペースですが完結まで頑張ります！ (2022年3月21日 19時) (
レス) id: 546d15b4fb (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - ずっと更新待ってます！！！！！！ (2022年2月28日 23時) (レス) @page22 id: 861da81337 (このIDを非表示/違反報告)
noel(プロフ) - ゆきなさん» 不定期作品に付き合っていただいてありがとうございます！これからもよろしくお願いします^_^ (2020年7月19日 18時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - これからも無理せずに頑張ってください！楽しみにしてます！ (2020年7月19日 16時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
noel(プロフ) - 苑歌さん» ありがとうございます^_^ 今後も頑張ります！！ (2020年7月19日 15時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：noel | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/noel_2/
作成日時：2020年7月19日 12時
