ブレイムに帰す自棄 【Wraith】※喋ります ページ10
罪人は遅かれ早かれ代償を払う。
しかし、自分の行いに罪の意識が無ければ、それは単なる不幸だろう。そして、悪行を悔やんでいる内に降りかかった不幸は制裁だ。
かつての雇い主は報いを受けた。僕に殺される事によって。
次は僕が償う番、いいや、償っている。
償っていると、そう思いたい。
「また人を殺してるのに?」
血に濡れた少女が、そう腕の中で笑った。その馬鹿にしたような笑顔は頭に来る。鮮血を流し続ける傷口に指を突き入れて軽く開けば、ヒュウヒュウと抜ける乾いた笑い声は途端に低い呻きに変わり、急激に顔が青ざめていく。
「望まない殺しだよ。問題なのは自分の意思か、そうでないかだ。逆に君は何でここにいる?君がここでこうして何度も死んでいくのも、何かの報いの筈だけど?」
「そ...そんなの、わたしが、知るわけない...」
一点に留まらず、上下左右に振れる瞳は、焦点が合わなくなってきているんだろうが、尚も僕を捉えたまま。
支えた体からは段々と力が抜け、腕にかかる重みは、彼女が死を迎えようとしている証拠だ。
「...もし僕がまた罪を重ねているとしたら、それは君が原因だと思う」
「......でも、咎められるのは、...」
「ああ、僕だけで充分だね」
君は僕が嫌いだろ?
そんな問いに答えることなく、彼女は静かに目を閉じた。唇の端が微かに痙攣したのは、この期に及んで笑おうとしたからなのか。
確かに呼吸が止まったのを確認して、だらりと肢体を投げ出す、体系の割に重い体を抱き寄せる。
冷えていく首筋に顔を埋めても、嗅ぎ慣れた血の匂いしかしない。
ふと、この子が生きているときに纏っている匂いがどんなものなのかを知りたくなった。
だが、僕がこんな風に触れられるのは死んだ後の抜け殻だけ。口は利かず、表情は動かず、僕を見ず。
半開きになった唇に、触れるだけの口付けをする。
この仕打ちは、これは、僕が君を愛していることへの罰だ。
神が僕をここへ引き摺り込んだ。永遠に陽の光が差さない森で、永遠に悲鳴と血を浴び続け、永遠に生きる事が、僕への戒めだった。大罪を負った僕には、愛を語る資格が無い。
それでも、それでも。
「愛してるよ、A」
今、僕は報いを受けている。
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Noel(プロフ) - レイ(元Night)さん» レイさんありがとうございます!!デススリ、大好きです……夢本当に少ないですよね…増やして…いきたい…! (8月31日 1時) (レス) id: ab5bbb1140 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(元Night)(プロフ) - めっちゃ好きです、デススリなかなかないのでありがとうございます、最高です。。 (8月30日 23時) (レス) id: 2a5a7e1b4d (このIDを非表示/違反報告)
Noel(プロフ) - 月神さん» コメント欄ではご遠慮お願いします〜 Twitterなどその他SNSやボードへの書き込みでしたら全然お聞きしますよ! (8月10日 7時) (レス) id: ab5bbb1140 (このIDを非表示/違反報告)
月神 - うちのdbdのオリ(プレイヤー?)について聞いてもらえませんか? (8月10日 1時) (レス) id: d36a24f29e (このIDを非表示/違反報告)
Noel(プロフ) - 月神さん» 素敵ですね!悪辣セーターおじさん私も一時期ハマってました!遭遇率が低いのだけ寂しいですが… (7月24日 20時) (レス) id: ab5bbb1140 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Noel | 作成日時:2018年12月16日 17時