続き ページ8
「......ぇー...っと、ぁ、ひ、火、熱くないのか?」
「熱くないよ」
「あ、そう...」
...焚火の火が熱くないのは知っている。前に俺も彼女と同じことをしていた。だが咄嗟に口をついて出てしまった以上は無知な振りをするしかない。
それと、話を切り出す決意の固さの割に圧倒的に呆気なく終了した会話に、何とも情けなく泣いてしまいそうになる。
彼女は俺を振り向きもしなかった。
彼女的には振り向く必要が無いと判断しただけで、そこにそれ以上の意味は無いんだろうが、想いを寄せている相手に気にもかけられないのは少々心に鋭く刺さるものがある。
また二人の間に無言の時間が訪れる。
唯一、火花の跳ねる音だけが完全な沈黙に包まれるのを防いでくれているようだった。
必死に次の言葉を探しては浮かんだ台詞を掻き消し、また組み立てるのを脳内で繰り返している内に、視線は段々と彼女から生気の無い枯れた地面へと注がれていく。
すると突然、Aが立ち上がると、ほとんど音を立てずに俺の後ろへ回り込んだ。
あまりの退屈にとうとう飽きてこの場を去ろうとしたのかと思ったが、それは勘違いだったらしい。マスクに開けた穴で露出していた俺の目は、後ろから温かい彼女の手の平で覆われたのだ。
「ねぇ、ちょっと質問してもいい?」
想像よりとてもすぐ近くでAの声が聞こえる。儀式でそこら中を駆けずり回った後みたいに心臓がバクバクいって止まらなかった。そして続けて、後ろで彼女がゆっくり息を吐く。
「...私のこと苦手?」
93人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Noel(プロフ) - レイ(元Night)さん» レイさんありがとうございます!!デススリ、大好きです……夢本当に少ないですよね…増やして…いきたい…! (8月31日 1時) (レス) id: ab5bbb1140 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(元Night)(プロフ) - めっちゃ好きです、デススリなかなかないのでありがとうございます、最高です。。 (8月30日 23時) (レス) id: 2a5a7e1b4d (このIDを非表示/違反報告)
Noel(プロフ) - 月神さん» コメント欄ではご遠慮お願いします〜 Twitterなどその他SNSやボードへの書き込みでしたら全然お聞きしますよ! (8月10日 7時) (レス) id: ab5bbb1140 (このIDを非表示/違反報告)
月神 - うちのdbdのオリ(プレイヤー?)について聞いてもらえませんか? (8月10日 1時) (レス) id: d36a24f29e (このIDを非表示/違反報告)
Noel(プロフ) - 月神さん» 素敵ですね!悪辣セーターおじさん私も一時期ハマってました!遭遇率が低いのだけ寂しいですが… (7月24日 20時) (レス) id: ab5bbb1140 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Noel | 作成日時:2018年12月16日 17時