不可視の恋慕【Nightmare】 ページ13
何度も金属の爪を擦り合わせる音が、そろそろ腹立たしくなってきた。
耳障り。耳に痛い迷惑な癖だ。
奥歯の辺りがむずむずするような、思わず目に力が入るような、そんな金属音。
ボロボロになった小屋の窓枠に腰掛ける、赤と緑の横縞のセーターに小洒落た中折れ帽の男が顔を向ける先は、彼曰く、彼が生きていた時に働き、また根城とする地下室があったという寂れた幼稚園。
第一地下室というのも、この世界ではエンティティが贄を召すのに特に好む処刑場に改装されてしまったようだが。
しかし、私は何故このいまいち掴み所のない奇妙な男と共に、数時間もこの場所に居座っているのか。
言葉にすればなんとも簡単なことに、彼が私を殺したいからだ。
だが、殺したいと言っても、その動機は憎悪でも嫌悪でもなく、私への興味。好意だという。
聞き齧った話では、この殺人鬼の人物像は「児童性愛」と「サディズム」が大部分を占めているらしい。正真正銘の変質者に好かれてもあまり嬉しくない。
長らく保たれた沈黙を破り、喉の奥から低い笑い声を響かせた男が、深い関心の滲む面持ちでこちらを振り返った。
「さあ、A。次は何を試してみる？クソったれの邪神に邪魔されないような方法を思い付いたか？」
ゴト、と厚底のブーツを歪んだ木の床に降ろし、緩慢に私の周囲を回り始めた男に、えも言われぬ悪寒が背筋を伝う。
「...自分の殺され方を自分で考えろなんて、本当にサディストなのね。」
「ハッ！嬉しいねえ、怯えてるんだな？どうせ俺にはお前を殺せないと思っている癖に」
僅かな幸運として、私が「こちら側」にいるおかげで、私を捉える彼の鋭い爪は、同じく鋭利なエンティティの爪に弾かれるのだ。
当然それで諦める程度ではエルム街の夢魔は務まらない。
立ち止まり、厚手のグローブを嵌めた右手を伸ばして、出来る限り静かに、ゆっくりと私の頬へ触れ、まるでそこから味わっているとでもいうかのように、研ぎ澄まされた切っ先で唇をなぞられるが、頭一つぶん高い位置にある彼の目は、更にその下の喉に視線を寄越している気がした。
案の定、次の瞬間に喉を切り裂こうと振り上げられた鉤爪の空を切る音が耳元を掠める。
反射的に目を閉じて顔を背けるが、結局喉を裂かれる痛みは無く、代わりに目の前で硬い何かがぶつかる音と、短い呻き声が聞こえた。
薄ら目を開くと、フレディは、やはり私のすぐ目の前に現れた赤黒い爪を恨めしそうに睨め付けていた。
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Noel(プロフ) - レイ(元Night)さん» レイさんありがとうございます！！デススリ、大好きです……夢本当に少ないですよね…増やして…いきたい…！ (8月31日 1時) (
レス) id: ab5bbb1140 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(元Night)(プロフ) - めっちゃ好きです、デススリなかなかないのでありがとうございます、最高です。。 (8月30日 23時) (レス) id: 2a5a7e1b4d (このIDを非表示/違反報告)
Noel(プロフ) - 月神さん» コメント欄ではご遠慮お願いします〜 Twitterなどその他SNSやボードへの書き込みでしたら全然お聞きしますよ！ (8月10日 7時) (レス) id: ab5bbb1140 (このIDを非表示/違反報告)
月神 - うちのdbdのオリ（プレイヤー？）について聞いてもらえませんか？ (8月10日 1時) (レス) id: d36a24f29e (このIDを非表示/違反報告)
Noel(プロフ) - 月神さん» 素敵ですね！悪辣セーターおじさん私も一時期ハマってました！遭遇率が低いのだけ寂しいですが… (7月24日 20時) (レス) id: ab5bbb1140 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Noel | 作成日時：2018年12月16日 17時
