もう止まらない(１) かしわてぃ。さんリク 前田利家と本田忠勝で、取り合いの甘々系 ページ34
もう黄金色の月は高く昇り、獣も花も人も寝静まる夜更け。
私は、屈強な男二人に挟まれて酒を飲んでいた。
一人は織田の若き猛者、前田利家。もう一人は家康には過ぎたる勇将、本多忠勝。
二人とも何度か戦で共闘したことのある武将だ。
そしてどうやら、酒が進むうちに私は口説かれ始めていたらしい。
「Aよぉ…そろそろ織田に来ねぇか？俺も信長様も秀吉も、歓迎すンぜ？」
「A。徳川に仕えよ。我らが殿が泰平の道を敷くために、お主の力が必要だ」
「ありがたい誘いだが…私にはまだやることがあるんだ」
そう言って、朱塗りの杯を傾けた。
私は自分の目で、この世界を見ねば。
一つの勢力に留まっていては、この世の本当の姿は見えないんだ。
「なぁ、織田の将になってくれよ」
「わっ」
「共に徳川に忠を尽くそう」
「えっ」
ずいっと利家に距離を縮められ、思わず後ずさると、後ろから忠勝に肩を掴まれた。
利家は私の手をギュッと握り、子犬のような目で私を見る。
その眼差しに言葉が詰まる。
身じろぎもせず、呆然と利家と見詰め合っていると、彼の指が私の唇に触れた。
そのまま感触を確かめるように、ふにふにと押される。
「んっ…」
「へへ、やわけぇ」
「な、何だ」
「……奪っちまいてぇな」
そう低く呟いたと同時に、利家の凛々しいながらも男らしい顔が近づいた。
逃げようと畳を前に蹴るも、すぐに背中に忠勝の胸がぶつかってしまう。
そのまま耳のあたりに手が添えられ…
「……！」
唇が、重なった。
そのまま、味わうように、柔らかさを楽しむように、何度も……。
「ぁ、利家……」
やっと彼が離れたら、何だか力が抜けてしまって私は力なく忠勝に寄りかかる。
利家はいつもと違う少し意地悪な顔をしている。
その目はギラギラしていて…、
「A」
ふいに耳元で名を呼ばれ、肩が跳ねた。
後ろの忠勝が、私の耳に唇を寄せる。
「拙者の相手も、してはくれぬか……？」
今度は顎に指が添えられ、忠勝の唇が、私の唇に重なった。
押し付けられるままに、深く唇が密着する。
まさか、彼も同じようにするなんて思わなかったから、驚きで身体が固まってしまう。
そして利家に握られたままの手が、ぎゅっとさらに強く握られたのがわかった。
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ヒヨコダイル - 皆さん、ここへリクエストを書くと、私は気づくのにとっても時間がかかります。お手数ですが、短編集リクエストは一番新しいところへお願いします (2017年9月17日 22時) (
レス) id: 3e0b1caa50 (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨコダイル - 紅姫さん» 了解です (2017年9月16日 12時) (レス) id: 3e0b1caa50 (このIDを非表示/違反報告)
紅姫 - はい！ 助けに来てくれた場面でお願いします！ (2017年9月12日 19時) (レス) id: b0efbd718f (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨコダイル - 紅姫さん» そろそろ小説がいっぱいなので５につくりますね (2017年9月10日 17時) (レス) id: 3e0b1caa50 (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨコダイル - 紅姫さん» 承りました。「囚われていたら」っていうのは、武将が助けに来てくれた場面を書けばよろしいですか？ (2017年9月10日 17時) (レス) id: 3e0b1caa50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヒヨコダイル | 作成日時：2016年10月9日 19時
