素敵な人 雪月 清音さんリク 黒田官兵衛 ページ15
「…なぁ官兵衛」
「何だ」
「私は、強くなれたのかな」
「…まず私の肩から足を下ろしてから言え」
えー、と小さく零して弱く踵を落とす。
…何をやってるんだこの女は。
「とととととー…」
気の抜けた声を背中で聞いて、ため息をついた。
肩たたきなら手でやってほしいものだが。
「下ろせ」
「あーん」
足を肩から下ろして、寝そべったAに向き直った。
向こうは起き上がらずそのままの体勢でいる。
「卿は、自分は強くなれたかと聞いたな？」
「うん」
「間違いなく、卿は武を磨き上げている」
「そっか。でも…」
幸せそうな笑顔を浮かべたかと思いきや、すぐ表情を曇らせた。
「私は、たくさんの命を奪っている」
「半兵衛のようなことを言っているな」
「もともと似たような考えを持っているんだ」
今更そんなことで迷っているのか。
いや、今だからこそ迷っているのか？
「強くなるのは良いことだと思うんだ。でもそれで誰かが悲しんでるのかなって」
「……今更思うことか」
「いや、そうなんだけど…」
いつもより歯切れの悪い喋り方だった。
「戦で犠牲者が増えるのなら、せめて早く戦のない世をつくれば良い」
「それでも、やっぱ犠牲者は出るんだよね」
「何かを得れば、何かを失う。この世とはそういうものだ」
Aはため息をついた。
ため息をつきたいのはこっちの方だ。
やれやれ、教えてやるか。
「だが、その犠牲をできるだけ減らす戦を考えるのが、我々軍師だ」
「…！」
「卿が悩むことではない」
「…官兵衛は、優しいね」
「は？」
「誰よりも優しくて、平和のためにたくさん努力している」
「……勝手に思っていろ」
「ふふっ、ありがとう官兵衛」
やっと気を持ち直したらしい。
本当に、世話の焼ける勇士だ。
「官兵衛」
「何だ」
「頼りにしてる。お前は、素敵な人だから」
「ふん…」
返事の変わりに、彼女の頭を撫でてやった。
素敵な人…私には似合わない。
だが、Aに言われると、悪い気はしないな。
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・
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いかがでしたか？
私の思う官兵衛は、「不気味だし冷酷に見えるけど、誰よりあったかい人」です。
それを今回表せたかなぁ？
空乃 海碧さんリク 付き合っていたのに突然別れ話をされた時の武将達の反応→←たとえ俺が空に堕ちても 大谷吉継
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ヒヨコダイル - 皆さん、ここへリクエストを書くと、私は気づくのにとっても時間がかかります。お手数ですが、短編集リクエストは一番新しいところへお願いします (2017年9月17日 22時) (
レス) id: 3e0b1caa50 (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨコダイル - 紅姫さん» 了解です (2017年9月16日 12時) (レス) id: 3e0b1caa50 (このIDを非表示/違反報告)
紅姫 - はい！ 助けに来てくれた場面でお願いします！ (2017年9月12日 19時) (レス) id: b0efbd718f (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨコダイル - 紅姫さん» そろそろ小説がいっぱいなので５につくりますね (2017年9月10日 17時) (レス) id: 3e0b1caa50 (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨコダイル - 紅姫さん» 承りました。「囚われていたら」っていうのは、武将が助けに来てくれた場面を書けばよろしいですか？ (2017年9月10日 17時) (レス) id: 3e0b1caa50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヒヨコダイル | 作成日時：2016年10月9日 19時
