・ ページ7
・
「冗談だよ」
俺は机に置かれた小銭を受け取り、ブレザーのポケットに入れた。
那須は黙ったまま、パンの袋を開けた。
那須が小さくパンをちぎり、口に運び、ゆっくりと咀嚼し、時間をかけて飲み込む。
その一連の動作を、俺は凝視していた。
「そんなに見なくたって大丈夫だよ」
那須は困ったように笑う。
「大丈夫じゃないだろ?
お前は、まだ大丈夫じゃないんだよ」
那須は誰かに言われなければ食事を取らない。
食事も睡眠も勉強も、那須の行動には、那須自身の意志が伴わない。
那須は、誰かの指示によって生きているのだ。
その指示がなければ、那須は生きることさえやめてしまうのではないか、俺は無性に怖くなる。
那須がいなくなれば、俺の理解者なんてこの世に一人たりともいないのだ。
.
229人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
呑(プロフ) - Athenaさん» Athenaさん、ありがとうございます!このお話は配役も展開も思い付きの行き当たりばったりで書いているのですが、褒めて頂けるのなら良かったです。更新頑張ります! (2020年6月4日 5時) (レス) id: 2d1b1a1819 (このIDを非表示/違反報告)
Athena(プロフ) - 呑さんのお話いつも楽しみにして読ませて頂いてます!人物の配役といい、話の展開といい目が離せません! (2020年6月4日 1時) (レス) id: dbbbb4e0c8 (このIDを非表示/違反報告)
呑(プロフ) - クラゲさん» クラゲさん、ありがとうございます。ただの欲望の落書きなので、ご期待頂くようなものではありませんが、そう言って頂けて本当に嬉しいです。モチベーションになります。 (2020年3月29日 22時) (レス) id: 01d1287c7a (このIDを非表示/違反報告)
クラゲ(プロフ) - コメント失礼致します。はじめまして。何回も評価ボタンを押したいほど好きです!更新楽しみにしています!もっとたくさんの人にこの作品を知って欲しいと思います。他の作品も読んでみます! (2020年3月29日 11時) (レス) id: c5ec0b2059 (このIDを非表示/違反報告)
呑(プロフ) - れさん» れさん、後れ馳せながら、コメントありがとうございます。励みになります。見切り発車ですがゆっくり頑張ろうと思うのでお手透きの折にぜひ。 (2020年3月21日 14時) (レス) id: 01d1287c7a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:呑 | 作成日時:2019年12月21日 2時