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目が覚めて初めて、自分が眠っていたことに気付いた。
いつの間に、意識が飛んでいたのだろう。
ベッドの横にはもう誰もいない。
体を起こすと、全身に痛みが走った。
抵抗の余地もない、昨夜の快楽と、それを遥かに上回る苦痛。
この体で受け止めるには、もう限界なのかもしれない。
錆びた機械のように節々が軋む体を庇いながら、ふらふらと寝室を出る。
リビングにも、トイレにも、既に誰もいない。
浮所が部屋を出たのが、事より前なのか後なのか不安になる。
浮所には初めに全てを打ち明けていたけれど、実際に目の当たりにしたとしたらショックを受けるかもしれない。
この痩けた身体で受け止めた、昨晩の激しい熱情を思い出す。
醜く、穢い。
けれど無くては生きていけないもの。
浮所のあの瞳に映った、この醜い心身を思い浮かべる。
全身に虫酸が走り、慌てて浴室へ入る。
皮膚を削るように洗っても洗っても、穢れが落ちることはなかった。
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呑(プロフ) - Athenaさん» Athenaさん、ありがとうございます!このお話は配役も展開も思い付きの行き当たりばったりで書いているのですが、褒めて頂けるのなら良かったです。更新頑張ります! (2020年6月4日 5時) (レス) id: 2d1b1a1819 (このIDを非表示/違反報告)
Athena(プロフ) - 呑さんのお話いつも楽しみにして読ませて頂いてます!人物の配役といい、話の展開といい目が離せません! (2020年6月4日 1時) (レス) id: dbbbb4e0c8 (このIDを非表示/違反報告)
呑(プロフ) - クラゲさん» クラゲさん、ありがとうございます。ただの欲望の落書きなので、ご期待頂くようなものではありませんが、そう言って頂けて本当に嬉しいです。モチベーションになります。 (2020年3月29日 22時) (レス) id: 01d1287c7a (このIDを非表示/違反報告)
クラゲ(プロフ) - コメント失礼致します。はじめまして。何回も評価ボタンを押したいほど好きです!更新楽しみにしています!もっとたくさんの人にこの作品を知って欲しいと思います。他の作品も読んでみます! (2020年3月29日 11時) (レス) id: c5ec0b2059 (このIDを非表示/違反報告)
呑(プロフ) - れさん» れさん、後れ馳せながら、コメントありがとうございます。励みになります。見切り発車ですがゆっくり頑張ろうと思うのでお手透きの折にぜひ。 (2020年3月21日 14時) (レス) id: 01d1287c7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:呑 | 作成日時:2019年12月21日 2時