・ ページ39
・
「すみません、見苦しいところを」
中島さんは何も言わず、俺が落ち着くのをただ待っていてくれた。
「ところで、本題なんだけど」
中島さんの眼が微かに鋭くなった。
「はい、」
「君が望むなら、お母さんに伝えたいことを僕が仲介することもできる。」
「...それは、記者としての提案ですか」
中島さんは、すぐに俺の言いたいことを理解したようで困ったように眉を掻いた。
「どっちも、かな。
記者として、君とお母さんの関係には興味があるし、正直、ネタになれば良いなとも思う。
けど、純粋に君の手助けをしたいという気持ちがあるのも本心だよ。」
清く優しい顔をして、中島さんは言った。
その言葉に嘘はない気がした。
「母さんとは、会って話したいんです。温度を共有したいし、なにより顔が見たい。
だから、折角ですけど」
「そっか、」
「はい、すみません」
「いや、いいんだ。
何か助けられることがあったら言ってね。」
中島さんはそう言って、代金をテーブルに置いて立ち上がった。
「あ、そうだ。手紙なら誰でも出せるからね。」
去り際にそう言い残して、店を出ていった。
.
229人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
呑(プロフ) - Athenaさん» Athenaさん、ありがとうございます!このお話は配役も展開も思い付きの行き当たりばったりで書いているのですが、褒めて頂けるのなら良かったです。更新頑張ります! (2020年6月4日 5時) (レス) id: 2d1b1a1819 (このIDを非表示/違反報告)
Athena(プロフ) - 呑さんのお話いつも楽しみにして読ませて頂いてます!人物の配役といい、話の展開といい目が離せません! (2020年6月4日 1時) (レス) id: dbbbb4e0c8 (このIDを非表示/違反報告)
呑(プロフ) - クラゲさん» クラゲさん、ありがとうございます。ただの欲望の落書きなので、ご期待頂くようなものではありませんが、そう言って頂けて本当に嬉しいです。モチベーションになります。 (2020年3月29日 22時) (レス) id: 01d1287c7a (このIDを非表示/違反報告)
クラゲ(プロフ) - コメント失礼致します。はじめまして。何回も評価ボタンを押したいほど好きです!更新楽しみにしています!もっとたくさんの人にこの作品を知って欲しいと思います。他の作品も読んでみます! (2020年3月29日 11時) (レス) id: c5ec0b2059 (このIDを非表示/違反報告)
呑(プロフ) - れさん» れさん、後れ馳せながら、コメントありがとうございます。励みになります。見切り発車ですがゆっくり頑張ろうと思うのでお手透きの折にぜひ。 (2020年3月21日 14時) (レス) id: 01d1287c7a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:呑 | 作成日時:2019年12月21日 2時