終焉の物語 (ページ2)

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豪華な朝食を済ませて、執務室へ向かう。

そこには、様々な歴史書が並べてある。

バンクシアはふと、一冊の本に興味がわく。

「ソルシエールの悲劇…？」

そこには、昔話にしてはなんとも重たい内容が書かれている。

「ソルシエールって、200年くらいごとに現れるんだ…。」

そういえば、ここ500年は、バンクシアがこの国を治めている。

この事実を知らなかったとなると、500年ソルシエールはきていないと言うことになる。

「変なことが、起きなきゃいいんだけど…。」

女王としては、案じずにはいられなかった。

「…そうだ。明日は武術大会だわ。」

今気づいたかのように言うと素早く立ち上がる。

この女は、男勝りなことに武術を観戦するのが好きである。

「あーあ、私も武術ができたらなあ。」

少し思ってはみるものの、そのとたん、いつになく冷たい表情をしたサフィを思い浮かべてしまう。

彼はいつもは、毒舌のくせに温厚だ。

しかし、バンクシアが武術のことについて語り出すと顔を強張らせた。

「ダメです。女の方は。」

そのたった二言に、恐ろしい何かが込められていて、バンクシアは身を引いた。

あれ以来そのようなことはせがんでいない。

せがめないのである。

いつもは尻に敷かれて黙っているあの妙に大人びた彼は、怒らせたくない。

一度ため息を小さくついて、仕事を再開した。

書物にサインをする仕事しかなく、退屈だ。

「早くきてよ、サフィ。」

今は仕事で隣国に行っているであろう夫を思い浮かべる。

いつの間にか、仕事は終わっていた。