深紅の物語 (ページ14)

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「ミス・マナンティアレの目には、目の前の戦うべき相手を見ていなかった。なにやら、不吉な予感がいたします。」

「でも、あなたを巻き込むわけには…。」

イース・リヴェルタは迷う。

最悪、死という結末が彼女を待っている。

彼女はしばらく、口をつぐむ。

しかし、意を決して、話す。

「友ですから…。共に参りましょう。」

「では、お願いします。」

イース・リヴェルタは、疲れたかのようにシェネキスをそっと置いた。

そのまま、ベッドに倒れる。

「大丈夫か。」

コウ・クルススは、声をかけるが、返事はもう決まったようなものだった。

「平気です。」

汗ばんだひたいに張り付いた髪をはがしながら言う彼女の姿は、辛そうにしか見えない。

コウ・クルススは、そこで肺結核は、夜に大量の汗をかじゅことを思い出す。

「朝は、早くなるからもう寝たほうがいい。」

イース・リヴェルタは、頷くと、そのまま目を閉じる。

コウ・クルススは、そんな彼女を微笑ましく見守る。

月の輝く夜に、風に当てられながら、二人は静かに夜を過ごした。