深紅の物語 (ページ25)

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「命の危険があるのですか?」

零は、驚いたのか、目を見開く。

「では、何らかの対処をしないといけませんね。」

「対処しようがないだろう。リヴェルタは、不治の病にかかってしまったんだから。」

少し、悲しそうな瞳をして、ウィステリア・レインはいう。

「そんなことありません!イースさんが、死んでしまうと言いたいの?ウィスト。」

普段はめったに怒らない彼女が、目を釣りあげている。

ウィステリア・レインは、思わず黙り込んだ。

「それより問題は、リヴェルタが、自分の病をまだ知らない。伝えるべきか…。」

コウ・クルススは、思わず腕を組む。

「伝えたら、それなりに彼女もショックを受けますよね…。」

零も、考え込む。

「彼女の性格次第でもある。君が1番知っているんじゃないかな?クルスス。」

「…確かに、付き合いは一番長いが、あまり話したこともない。」

「それは、おかしくないか…。」

零とウィステリア・レインは呆れた顔を隠せない。

「それだけ一緒にいて、あまり話したこともないって…。どれだけ寡黙な人なんです？」

コウ・クルススは、表情すら変えずに続けた。

「あまり詳しくはないが、彼女は見た目の割には大人びている。…無理して大人っぽくしてるのかもしれないが…。」

やはり、あやふやである。

「顔の割りには、って、君もずいぶん童顔じゃないかな。」

ちらっとウィステリア・レインは、コウ・クルススを見る。

「でも、容姿端麗って、羨ましいです。クルススさんも、ウィストも。」

零は、大きくため息をつく。

コウ・クルススは何を言っていいかわからず、黙った。

しかし、ここで肝心なことを思い出した。

「ウィステリア・レイン。お前は、俺の素顔をいつ見た。」

それもそのはず、コウ・クルススは、黒ずくめのフードを被っている。

顔は見えない。

「え、君が寝てる時。」

実は、零と二人で偶然、見てしまったのだ。

「悪気は、なかったんです…。」

零が切なげにいうので、思わず返した。

「気にするな。」

と。